第28幕
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一瞬。ふっと、銀時の横を似蔵が通り過ぎる。
『……銀時、お前……死んでたぞ』
「海……」
カチンっと刀を仕舞う海。その顔は戦場でよく見ていた顔。無表情に敵を見つめる顔だった。
似蔵が銀時の横を通る時に刀を出して、銀時の左肩へと斬りかかろうとしていたのを、海が刀で防いだ。
「さすがは閃光。目に止まらぬ速さよ」
『お前もな。俺が見てなかったら銀時は斬られただろうよ』
「ふむ……閃光とは1度斬り合ってみたかった……いい機会だ。お相手を願いたいのだが」
『残念。お前の相手するのは俺じゃねぇよ』
そう言って海は似蔵に背を向けて歩き出す。
「そっちは頼んだわ」
『はいよ。ちゃんと追いついてこいよ?』
「海も怪我すんなよ?絶対すんなよ?しても、ちゃんと言えよ?」
『わかってるっつうの。お前は俺のお母さんか』
「いや、彼氏希望です」
『ひっぱたくぞ』
似蔵によって奪われた赤ん坊を取り返すために神楽と新八と共に狸ジジイを追う。
銀時はこの場に残って似蔵に木刀を向けた。
「侍が果たせない約束なんぞするもんじゃないよ」
「心配いらねーよ。こう見えて俺は律儀なもんでね。それに……あいつが必ず来いって言うんだったら、腕が無くなろうが足が飛ぼうが行くまでよ」
「そんなにも閃光がいいのかい?あの男のどこがいいのか……興味をそそるねェ」
「お前には一生理解できねぇよ」
「そうかねぇ……俺は男に興味はないが、閃光は別だねェ」
「……あいつには触らせねぇ」
木刀を持つ手に力が入る。似蔵が銀時へと斬りかかる。似蔵は銀時の腕を斬り落としたと悦に浸る。追うは閃光。あの男ならもっと自分を楽しませてくれるだろう。
点鼻薬を差しながら似蔵はその場をあとにしようとする。
「どうしたぁ?俺が死ぬ幻覚でもみたかぁ?」
「!?」
気配もなく目の前から聞こえてきた声。点鼻薬を銀時に取られる。すぐに刀へと手を伸ばすが、感じた違和感。手に持っている刀が軽すぎる。似蔵は刀身が折られていることに気づくが、それは遅すぎた。
「遅ぇな。これならまだ海の足蹴りの方が早い」
「ぐ……」
似蔵の頭へと落とされる木刀。床へと頭をめり込ませて倒れる似蔵。
銀時はすぐに海の後を追って進む。やっと追いついた時には全て終わっていて、残ったのは和解した女性とジジイの2人だった。
『おかえり』
「ただいま」
銀時に気づいた海が振り返って笑う。銀時も海につられるように柔らかい笑みを向けた。
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