第28幕
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赤ん坊の母親を探してる間に総悟やお妙と遭遇しやたらと絡まれたが、なんとかそこから抜け出した。
母親に関しての情報は全く手に入らない。
これでは探しようがない。
『お前のお母さんはどこにいるんだかな』
「ばぶ」
『早く会わせてやりたいけど……まだ時間がかかりそうだな』
ごめんな、と謝りながら腕の中で大人しくしている赤ん坊の頭を撫でる。赤ん坊は海に手を伸ばして掴もうとしていた。
「やけにお前に懐くな。ガキどもといい、定春といい、なんでお前はそんなに懐かれんだよ。銀さん心配になるでしょうが」
『なんでお前が心配になるんだよ』
「そりゃあ……なぁ?」
『はっきり言えはっきり』
「あー、なんだ。ほら、変なのに絡まれたりしないかとか。絡まれたりしないかとか」
『そうだな。現在進行形で絡まれそうにはなってるな』
銀時の前に笠をかぶった侍が数人、立ちはだかる。
「おいおい……随分たくさん絡みにくるじゃねぇか。なんだ?俺と海が夫婦ごっこしてんのがそんなに気に食わねぇのか?」
無言で銀時の背中を殴りつければ「すみません」と謝る銀時。背後に気配を感じ、子供を守るように強く抱きしめながら振り返る。
『銀時、後ろにもお客さん来てるぞ』
銀時の背中にとんっと己の背中を預けて、迫り来る男たちを見据える。退路も絶たれた今、こいつらをどうにかしなければ。海は赤ん坊をしっかりと抱き直し、いつでも抜刀できるように腰の刀へと手を置いた。
「海、お前は抜くな」
『抜かずにどうやって切り抜けんだよ』
「どうやら奴さんはそいつを返して欲しいみたいだからな。お望み通り返してやるまでよ!」
『な、おい!銀時!!』
海の腕の中にいる赤ん坊を鷲掴み、空へと放り投げる。銀時の突然の行動に呆気に取られる海。だが、銀時に「頼む」と一言かけられる。
『後でお前説教だからな!?』
「はいはい、頼んだぜ……お母さん!」
高く飛ばされた赤ん坊を見ながら、男たちの中を走り抜ける。後ろでは銀時が男達を相手しているのが聞こえた。
「き、貴様!」
『はいはい、邪魔だからちょっとどいてて……くれよなっ』
刀を抜いて立っている男。海の姿を見つけた瞬間、刀を振り下ろそうとした。それを見た海は走る速度を上げる。刹那、男の前から海が消えた。
海の姿を探す男の頭上を綺麗にバク転する海。男の頭を掴んでそのまま後ろへと倒す。
『……っと!』
海がしゃがんだと同時に腕の中へとぽすっと落ちてきた赤ん坊、そして左側から聞こえてきた刀がぶつかる音。音の方へと目をやると、銀時が海を庇うようにそこにいた。
「海くーん、大丈夫か?」
『こっちはなんとか……』
ギリギリと刀と木刀が交わる。銀時も海も、この男はそこら辺で倒れている男たちよりも腕が立つという事を理解する。
「面白い喧嘩の仕方をする男だな。護る戦いに慣れてるのかィ?」
「お前らのような物騒な連中に子育ては無理だ。どけ、ミルクの時間だ」
「ククク……イイ……イイよアンタ。獣の匂い……隠しきれない獣の匂いがするよ。あの人と同じ……」
そう言って男は刀を下ろす。子供を連れたままで相手をするのは惜しいと行って道を通す。
「海、行くぞ」
『……お前……』
銀時に声をかけられて男の横を通り抜けようとした海が立ち止まる。
「ククク……閃光、ねぇ……あの人のお気に入りに会えるとは……俺もツイてたもんだ」
あの人。
男の口から零れた言葉。その言葉に海は訝しげに男を見つめるが、倒れていた男たちが次々と起き上がるのを見て、その場を去ることに集中した。
「蒼き閃光ねぇ……クク……いい匂いだ……早く斬り合いたいもんだなァ」
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