第27幕
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"ペドロ、お願い!力を貸して!"
上映が始まり辺りが静かになる。
海も食べるのをやめて映画に見入っていた。
そんな隣でずびずびと鼻を鳴らす土方。
無言で海がハンカチを差し出す。土方はそれを受け取って目元を押さえた。
「やられたよ……大人の鑑賞に耐えうる映画だ。いや、大人にこそ見て欲しい映画だ」
土方がぶつぶつと呟いているが、海はじっと映画を見続けていた。
『……どこが……いいんだこれ……』
隣の男もそうだが、至る所から鼻をすする音が聞こえる。どこに泣く要素があるのかわからず、海はじっくりとその原因を探していた。
確かに女の子が妹を探すためにペドロの手を借りようと頑張っているのはわかる。だが、それを全てペドロが台無しにしているのだ。白パン履いたデブ男が。
『わかんねぇ……感情移入もできねぇ……なんでこれで泣けるんだ……』
どう考えても理解できない。眉間にシワを寄せるほど悩む海。そんな中、背後から刀の音が聞こえた気がした。
『……っ!』
パッと勢いよく振り向くとそこには銀時。
ポップコーンを泣きながら食べているのが見えた。
「おい、そこの。グズグズグズグズ、うるせぇよ。全然聞こえねぇよ。今、ペドロ何っつたんだ。ピンポンダッシュがなに?」
『(お前も泣いてるんかーーーい!!!)』
もうわけがわからない。
土方は一言謝り、銀時の方へと顔を向けて聴き逃した部分を教えようとする。
が、銀時だと認識した途端に驚きの顔。
上映中にも関わらず騒ぎ出す2人。
その騒がしさに他の客も文句を言い始めて乱闘騒ぎとなる。
『ったく……映画ぐらい大人しく見てられねぇのかよ』
海はソーセージをくわえて齧る。
そんな姿を見ていた男性客が海へと歩み寄り声をかける。
「な、なぁ……お嬢ちゃん……それを食うくらいなら俺のソーセージも食わねぇか?」
『は?お前脳ミソ腐ってんのか?どこがお嬢ちゃんだどこが』
「はぁはぁ……はぁ……」
『ちょ、こっち来んな!』
涎を垂らしながら近づいてくる男に身震いして慌てて椅子から立つ。後ずさりながら距離を置くが、誰かにぶつかってしまったことにより転倒。それを喜々とした男が海へと飛びつく。
「「てめぇは何してんじゃボケェ!!」」
「はぅ!?」
海の後ろから二つの声。
飛びかかろうとしていた男はその2人に股間を蹴りあげられて飛んでいった。
「大丈夫か、海?」
「ったく、目を離した途端これだ」
銀時に助け起こされ、土方には着流しについたホコリを払い落とされる。
『……いや、お前らが騒ぎ出さなければこうはならなかったと思うんだが』
真顔でそう言う海の言葉を無視して、また2人は客を蹴る。その騒ぎに怒りを露にする天人。
男性客が1人犠牲になったが、その場はなんとか収まった。
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