第4幕
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「海さん、団子屋に行きませんか?」
仕事をやり終えて一息ついていた昼頃。海の部屋に現れたのは総悟だった。
『そういえばこの間行けなかったもんな』
いつだったか総悟と団子屋に行くという約束をしたんだっけか。パトロールの後に甘いものでも、と話をしていたのだが、その時、どっかの天人が上空での違法商売をしていたせいで団子屋に行く予定が潰れたことがあった。
今なら何も問題が起きていないから出かけられるだろう。
『別にいいけど……お前、書類は?』
「もう終わりやした」
そう言って総悟は海に何枚かの書類を渡してくる。それを受け取って中身を確認すれば、この間のホテル池田屋だかなんだかの乱闘騒ぎの報告書。
きちんとサインも書いてあるし、バズーカを使ったことによるホテルへの損害賠償請求額もきちんと明記してある。
これなら近藤にそのまま渡しても問題は無いだろう。
『じゃあ、行くか』
「よっしゃ!先に門に行ってますから早く来てください!」
勢いよく襖を開け放って縁側へと出ていく総悟に眉をひそめる。廊下を走る音が辺りに響くのを聞いて海はため息をついた。一番隊の隊長である人間が団子屋ごときでそんなにはしゃぐなと言いたいが、彼の年齢を考慮したらため息しか出てこない。
──もう少し自覚を持って欲しい
なんて言えたら楽なのだろうけど、きっと総悟に言ったところで何も変わりはしないだろう。
着ていた隊服を脱ぎ、私服の着流しを羽織る。最近買ったお気に入りの濃紺色の物。まだ数回しか使っていないため、新品と変わらぬ状態のままだ。
基本的に休みが少ないから着流し姿でいることの方が珍しい。こうして久しぶりに着ると心なしかワクワクする。
財布を手に取って自室を出ようとした所でまた部屋へと戻る。総悟を連れていくのであれば少しばかり財布の中身が心もとない。それに土方や近藤にも手土産として団子を買っていくのもいいだろう。そう思って少し多めにお金を持って自室を出た。
『お待たせ』
「早く行きやしょう」
『はいはい。団子は逃げないから大丈夫だっての』
急かすように早歩きで進む総悟の後ろをついていく。まるでやんちゃな弟を相手しているようで感覚だ。
兄弟がいない海には新鮮な気持ち。きっと土方とかもこんな感じなんだろう。死ねとかクソとかの罵詈雑言を浴びせられているけど、土方からしたら生意気な弟が喧嘩を売ってきている、というふうに見えているのかもしれない。
嬉しそうに歩く総悟に自然と口元に笑みが浮かぶのを感じ、恥ずかしさに口元を手で隠した。可愛いなぁなんて思いながら目の前を歩く総悟の事を微笑ましく見つめ、団子屋へと歩いていっていた。
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