第27幕
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「おい、海。暇か?」
『これが暇に見えるか?と言いたいところだが、今暇になった』
静かに襖が開けられ土方が顔を出す。着流し姿の彼を見るところ、今日はこいつ非番だったっけかと思い出した。書き終えた書類を綺麗にまとめて置いておく。これを近藤に渡せば今日の仕事は終わり。
「暇ならちょっと付き合え」
『別にいいけど……どこに行くんだ?』
「場所は決めてねぇよ。屯所にいても何もすることがねぇから少し出るだけだ」
『要は暇だけど遊んでくれるやつがいないから誘いに来たと?』
「………………違ぇ」
『かなりの間が空いたな。よしよし、ちょっと待ってろ。すぐ着替えるから』
ムッとする土方の頭を撫でて襖を閉める。
隊服を脱いで着流しを羽織る。どこに行くのかはわからないが、どうせそこら辺うろうろして帰るくらいだろう。手荷物はそんなに要らないはずだ。財布だけを手に取り、土方が待っているであろう縁側へと出る。
『悪い、待たせたな』
「いや、急に声をかけたのは俺だ。悪いな」
タバコを吸って待ってた土方に一言謝れば、土方からも同様に謝罪の言葉。そして土方にじっと見つめられる。
『どうした?』
「ここ、跳ねてんぞ」
頭の左側へと土方の手が行く。海の髪を撫で付けるように触って引っ込める。
どうやら急いで準備をしている間に跳ねてしまっていたらしい。それを土方に直してもらってから海達は屯所を後にした。
『あれ、昼ごはん食べたのか?』
「いや、まだだ。お前だってまだだろ」
『朝から書類と睨めっこだったからな。じゃあ、まずは腹ごしらえとしますか』
適当な食事処へと入る2人。土方はいつもの土方スペシャルを頼み、海はお品書きをじっと見つめ悩んだ末にうどんを頼んだ。
「そんなんで足りんのか?」
『多分』
海が普段食べている量を知っている土方は頼んだ分だけで足りるのか疑う。たった一杯のうどんで足りるのか……いつもなら三杯ぐらい食べるこいつが、と。
「あら、土方さんも海くんも制服着てないところ初めて見たわ」
『今日は土方が非番だったんだよ女将さん』
「そうなの?」
『たまには休まないと、仕事に殺されるからね』
海と女将が仲良く話しているのを後目に、土方は店主と会話を交わす。
「独りもんなんてご冗談を。海くんがいるじゃないですか」
「ブッ!あんた何言ってやがんだ……」
飲んでいたお茶を店主の顔に吹き付ける。
笑いながら顔を拭く店主。
「だってこんな美人顔の人なんか滅多にいないじゃないですか」
「だからってなんでこいつと……その……」
「お似合いですからねぇ?」
「ブーッ!ゴホッ!」
店主の言葉に再度、お茶を噴き出しむせる。隣に座る海が心配して土方の背中をさするくらいに動揺していた。
.