第26幕
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『じぇっとこーすたー?』
「あぁ。好き嫌いの分かれるアトラクションだな」
目の前で走る遊具を眺める海。さすがに海もこれに乗るのは多少なりとも戸惑うだろうと踏んでいた土方。
だが、海はスタスタとジェットコースターの受付へと進み、自分の分と土方の分のチケットを購入してしまう。
『土方ー、早くしろー』
「乗るんかいッ!」
『だって総悟たち乗ってるし。なんか面白そうだろ?』
「はぁ……」
深いため息をついて項垂れる。海の好奇心は自分が思っていたものよりも遥かに高いものだった。
『わくわくするなぁ』
ジェットコースターの椅子に座ると安全バーを下ろす。
「海、ベルト締めろ。危ねぇから」
『ベルト?』
キョロキョロと椅子を見る海。土方が海が座っている横にあるベルトを引き出してきてロックをかける。
これで飛ばされることは無いだろう。まだ不安が残る土方は海の腰に回っているベルトを引っ張って、外れないことを確認してから手を離した。
『土方って面倒見がいいって言われないか?』
「あ?言われたことねぇよ」
『面倒見いいと思うけどな……総悟といい近藤さんといい、俺とといい』
「お前らが変なことばっかするからだろ」
『確かに』
「ほら、動き出すぞ」
がくんっと揺れてから動き出す車両。ジリジリと上がっていくのを見る海。こいつほんとに大丈夫か?と不安に思いながら土方は横目で海を見る。
海が降りたいと言い始めたらどうやって宥めようかとそれだけを考えていた。
レーンの頂点まで上がった車両が今度は地面ギリギリのところまで下降していく。全身にかかる重力。そして目を開けるのも大変なほどの風。
「大丈夫か、海!」
『ん?おう。なんか懐かしい』
「は?」
落ちていく中に呟いた海。その顔は確かに懐かしそうな顔をしている。土方はそんな顔を見て思い出した。
それは何年も前の記憶。もう薄れかかっているほどの記憶だ。近藤が海を拾ってきた時の言葉。空から海が落ちてきたという話。
多分、海はその時のことを思い出しているのだろう。落ちていく状況はきっとその時と今は変わらないから。
「海、お前本当に空から……ごふっ!?」
言葉は最後まで続かずに何者かに邪魔をされた。ぶつかってきたものを見ると、総悟が土方と海の座席の頭の部分を必死に掴まっていた。
『総悟!?』
「た、助けてくだせェーーー!!ベルト締めんの忘れた!ベルト締めんの忘れた!」
いつものキリ顔がテンパりまくって可哀想なことになっている。海が総悟へと手を伸ばし、なんとか自分の膝の上へと乗せる。総悟が飛ばされないようにと抱きしめながら。
『……やっぱ土方いないとダメだな』
「認めたくねぇ……」
ぶえぶえ泣いている総悟の背中を撫でながら海は苦笑いを浮かべる。
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