第26幕
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『おおお!これがメリーゴーランド!』
「はしゃぐな、恥ずかしい」
『は、はしゃいでねぇよ!』
「いや、かなりはしゃいんでんだろうが!」
ぐるぐる回るメリーゴーランドを見て楽しそうに笑う海。その右手には土方の手が繋がれていた。
あっちへウロウロこっちへウロウロと動き回る海。ただでさえ方向音痴な彼が迷子にならぬようにと土方が繋いでいる有様。
『土方……あれ乗ってみたい』
「はァァァ!?おま、あんなガキくせぇに乗りてぇのかよ!!」
『だって……』
すっと海が指差す方へと目を向ける。そこにはメリーゴーランドの馬に乗っている総悟たち。
「あ……あいつらァァァ!!」
海に引っ張られるようにして土方もメリーゴーランドへと向かう。海は馬へと跨り、土方は海の傍にある椅子へと座る。
『おおお!すご、土方これすごいな!』
回りながら上下に動く馬。それに感動している海。もはやその姿は親に連れてきてもらった子供のようなはしゃぎっぷり。
何のためにここに来たのか分からなくなった土方は頭を抱えはじめた。
メリーゴーランドを何周かしたあとに、今度はコーヒーカップへと移動する。
どんだけぐるぐる回るのが好きなんだよとか思いながら、海へとついていく。海も遊んでいるだけでなく、きちんと松平の娘の見張りも兼ねてやっているのだから抜け目がない。
『土方……お前、どこまで耐えられる?』
「あ?あ、あああぁあぁ!?」
座った途端にグルグルと回るカップ。周りが見えなくなるくらい回される視界。唯一しっかりと見える海はカップの中心にある丸い板をこれでもかと回していた。
『ふぅ……大丈夫か?土方』
「あ、あぁ……」
散々好きに回させた後に海は清々しい顔。反対に土方は胃の中のものを出しまくってげっそりした顔。
『ほら、これ飲めよ』
土方が吐いている間に海は近くの自販機へとお茶を買いに行っていた。吐き疲れてベンチに座っている土方にお茶を手渡し飲ませる。その横に腰を下ろして海はミルクティーを飲んでいた。
「お前元気だな」
『あ?そりゃな?こういうところはこうやって楽しむもんじゃねぇのか?』
「間違っちゃいねぇが、限度があるだろうが……」
『ダメだったか……?』
土方の呆れた声に落ち込んだ顔をする海。土方はやっちまった。と一瞬後悔した。
「別に悪くはねぇが……相手は選べ相手は。あんなぶん回されて平気で居られるヤツのが少ねぇだろ」
『あー、ちょっと楽しくって……ハメが外れた。悪かったな』
「……俺なら平気だけどな」
『吐いてるけどな』
ぼそっと呟いた言葉はしっかりと海の耳に届いていたらしく、苦笑いをしながら手を引かれる。
『ほら、総悟たち行っちゃったから行くぞ』
「はぁ……まだ行くのかよ」
飲み終わったお茶をゴミ箱へと投げ入れて海の後を追う。段々とこんな休日もいいかと思い始めている自分に気付かぬ振りをして。
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