第26幕
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「てめぇらを呼んだのはほかでもねぇ。ヤツがついに動く」
松平に呼ばれた近藤、土方、海、総悟は神妙な面持ちで松平の話に耳を傾ける。
「とっつぁん、それは確かかい?」
「間違いねぇ。ヤツらの周りには常にイヌが張っている。ヤツもそれに感づいて鳴りを潜めていやがったが、我慢出来ずに動き出しやがった」
『……ならば俺たちがヤツを討つと?』
「あぁ。そういうことだ。上の連中がガタガタ言うなら腹切る覚悟だ」
鉄板の上で焼かれたもんじゃへとヘラを伸ばす。1口分をすくってはそれを口に運ぶ。
「海さん、こっちの方が冷めてやすぜ」
『うん?あぁ、ありがとな』
猫舌な海のために総悟がもんじゃを皿に分けといてくれたらしく、それを受け取ってヘラでつつく。
「決戦だよ。ヤツもヤツの企ても全て潰す。海ィ、こっちのも食べてみろ。美味いぞ」
『ん、』
松平が作ったお好み焼きが皿の上に乗せられる。それを黙々と食べる海。
視界の隅で土方がイライラした顔を浮かべているのが見えたが、完全に無視を決め込んだ。
「海、ここのお好み焼きは美味いからな。沢山食べていけよ」
『ありがとうございます』
ごくんと飲み込んで礼を言う海。いつの間にか皿の上には色々と乗せられていて、どれがどれだか分からない状態になっていた。
松平は言うだけ、やるだけやってからそそくさと部屋を出ていく。その姿が見えなくなるまで頭を下げて見送った。
「トシ、総悟、海。ひとつ確認しておきたいことがある」
「なんだ?」
前に座る近藤がゆっくりと振り返る。
「ヤツって誰かな」
「知らねぇのかよ!」
「だって……なんか俺たちが知ってそうな雰囲気で話進んでくんだもん!海もなんか知ってそうな感じだったし!」
「おっさんが、もんってきめぇんだよ!」
「海さん、ヤツって誰のことか知ってるんですかい?」
もぐもぐもぐもぐ。
「やめとけ、総悟。あいつはもうお好み焼きに夢中だ」
皿に乗せられたお好み焼きを無心で食べる海を見て土方はため息をつく。
夢中になると無言になって黙々と作業をするやつだったが、それが食にも適用されるとは。侮りがたし大食い。
結局、松平が言っていたヤツのことは知ることは出来なかった。
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