第25幕
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「あの……ごちそうさまでした」
『おう。満足したのならよかった』
ご飯を済ませた海と銀時は店から出てきて歩き始める。海が少し散歩に付き合えよと銀時を誘ったからだった。
『怪我はもう大丈夫なのか?』
「ええ。病院の先生は外傷の方はそんなに酷くはないと」
『そうか。それならよかった……って、良くねぇか』
「すみません……」
『なんで銀時が謝るんだよ。記憶が無くなったのは銀時のせいじゃないだろ』
「でも、色んな人に迷惑をかけたのは事実ですし。今日も女の子と男の子が一日中、付きっきりで僕の記憶を戻そうと手伝ってくれたんです。でも……もう僕には彼らを雇ってあげることは出来ない。だから、万事屋は……」
『やめるってか?』
「……はい」
歩く足を止めて海は銀時を見る。狼狽える銀時。海はそんな銀時の顔へと手を伸ばし……頬をつねった。
「いっ!いっひゃい!いひゃいでふ!」
『お前なぁ……。捨てるのは簡単だけど、またそれを戻すのは苦労すんだぞ。ましてやあの二人を手放すなんて』
「へも、もうほくにはなひもしてあけられなひんでふ」
『今は、だろ?記憶が戻ったら……』
そっと頬から手を離して腕を組む。何か考え込んでいる海を銀時は痛む頬を撫でながら涙目で見ていた。
『銀時。お前が万事屋をやめて普通に生きていくって言うんだったら止めはしない』
「…………はい」
『俺もそっちの方が良いと思ってるからな。いつも変なことに首を突っ込んでは怪我してきたり、余計なもん背中に乗っけて帰ってきてたりしてたから』
「そう……だったんですね」
『あぁ。どんだけやめろって止めたってお前は聞く耳持たないし』
自分が知らないことを彼がぽんぽん教えてくれる。記憶を無くす前の自分はこんなに彼に迷惑をかけていたのか。そう思うと居た堪れない気分になっていく。
『それでもお前は真っ直ぐ生きていたからな。その途中で疲れたって、休みたいって言うんなら俺は止めない』
「僕は……」
『これからは好きに生きろ。お前が本当にやりたい事をやって残りの人生を謳歌しろ。そん時にお前を邪魔するようなヤツが出てきたら俺が斬ってやるから』
そう言って海は腰にある刀に触れる。
「好きなこと……ですか」
『あぁ。今まで頑張ってやってきたんだ。少しくらい休んだって良いだろ。きっと銀時の有給休暇は溜まり溜まってると思うからな。ここいらで全部使い果たせよ』
嫌なことも辛いことも全部忘れて。これからは自由に生きろ。
そう笑う海に銀時は何故か辛そうな顔を浮かべた。
『銀時、幸せになれよ』
柔らかい天然パーマの髪を梳くように撫でる。とても優しい顔をしている海に銀時は何も言えず立ち尽くしていた。
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