第25幕
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静かな屯所を書類を持った海がいた。
向かう先は副長室。書き終わった書類を土方に確認してもらうために、海は肌寒い縁側を歩いていた。
『この間までは暑かったのにこれだもんなぁ……風邪引いてなければいいけど』
思い浮かぶのは、万事屋に居候しているチャイナ服の少女と、バイトとしてそこに務めているメガネをかけた男の子。そして万事屋の店主として身を置いている銀髪の幼馴染。家として最低限機能している万事屋だが、暖房器具などをあの家で見かけたことは無い。この寒さの中、ちゃんと暖を取れているのかが不安になった。
『土方、いるか?桜樹だが……』
副長室につくと、海は襖を開けずに声をかける。暫く待ってみたが中からの返答はなかった。
外出中か。ならば仕方ないと襖を開けて中へと入る。殺風景な土方の部屋に歩く机に書類を置き、近くに置いてあったペンと紙を拝借して置き手紙もそえた。
『これでわかんだろ』
土方が戻ってくるまで部屋で待機しておいた方が確実ではあるのだが生憎、この後かぶき町の巡回予定が入っている。
『準備して行くか』
自室へと刀を取りに戻り、そのまま屯所を出た。
「あ、海さん!パトロールですか?」
『あぁ、山崎か。今日は確か非番だったよな』
「ええ。パトロール気をつけて行ってらっしゃいませ!」
びしっと敬礼する山崎に見送られながら海は賑やかなかぶき町へと出ていった。
辺りを見ながらのんびりと歩く。
目が合うと皆、海の名前を呼びながら手を振ってくる。その度ににこやかに微笑みながら手を振り返す海。もはやアイドルのような待遇である。
「海くん!今日美味しい漬物が入ったんだよ!これ持ってお行き!」
『それは楽しみですね。でも、俺これから見回りなので……また後で取りに来ます。それでも大丈夫ですか?』
「構いやしないよ!海くんが帰ってくるまで店開けとくから!」
「海くん!海くん!こっちも良いのが入ったんだ!見ておくれよ!」
至る所から名前を呼ばれれば、嫌な顔せずに海は声のした方へと出向く。真選組は何かと一般市民から毛嫌いされていたりすることが多いのだが、海に関しては歓迎されている。
それも彼の性格があっての事だろう。
困っていることがあれば些細なことでも助けようとする海。それを知っているみんなは海を頼りにして可愛がっているのだ。
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