第24幕
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『口の端、垂れてんぞ』
「ん?あぁ、これさっき食べたいちごパフェのいちごソースだから」
『そんなピンポイントで出てくるものなのかよ』
「銀さんの体の中は甘いもので形成されてるからな。なんなら舐めてみるか?」
『冗談。鉄の味しかしねぇだろが』
口の端から流れる血を袖で拭う銀時。背中合わせに立つ2人を囲うようにして武器を構える天人達。海はこれ以上の立ち入りを天人達に許さないように睨みを効かせる。
「ひと~つ、人の世の生き血をすすり」
「ふた~つ、不埒な悪行三昧」
闘技場に神楽と新八の声が響く。
そして2人がみ~っつ!と叫び銀時と海を指差す。
「み~っつ、み……みだらな人妻を……」
『アホか!なんで人妻なんだよ!みっつ、醜い浮世の鬼を退治してくれよう桃太郎だろうが!!いや、この場合は……』
退治してくれよう、万事屋。かな。
セリフが違うと神楽と新八に蹴られる銀時を見て笑う。なんとも締りの悪い男だ。
『そしてその+α』
お面越しにだがにこりと微笑みつつ、刀を握る。襲いかかってくる天人達。銀時と海、新八と神楽の4人で背中合わせになり自分の獲物を振りかざす。
「ぐあっ!」
『悪いがお前たちにはここで眠ってもらう』
子供たちが見ている手前、血は流さずにことを終わらせる。以前、それで大変な思いをしたのは覚えているが、この程度の輩であればその心配もない。一人、また一人と昏倒させていく。
「海やっぱ凄いネ」
『神楽と新八の方が凄ぇよ』
まだ年端もいかない子供が自分よりも大きい相手を地に倒していく。その姿を見て海は関心していた。
暫く4人で天人達を相手していると、いつの間にか真選組の隊士たちが闘技場へと来ているのが見えた。きっと土方と総悟が手配したのだろう。
これで真選組が煉獄関に関わったことが公になる。
『……どうなることやら』
近藤は尻拭いのために近々呼び出されるだろう。その不安が頭の隅に浮かぶ。近藤なら上手く切り抜いてくれると信じて、海は刀を振るい続けた。
そうして煉獄関の関係者は天導衆以外、屯所へと連れていかれ取り調べを受けることとなった。
海も騒がしくなるだろうということで、銀時と軽く言葉を交わしてパトカーへと乗り込む。
「海」
『うん?どうした?』
「子供たちをこっちに寄こしたのお前だろ」
『なんの事やら』
「俺は名刺にフリガナなんてふってねぇからな」
『頭のいい子達だったんだろ。俺達と違って、先生の言葉にきちんと耳を傾けて育ったんだろ』
「どうだか。あんなやんちゃな子供が真面目に勉強するとは思わねぇがな」
『人は見た目じゃない。そうだろ?まあ……』
助けてくれるヤツがいるよ。とは言ったけどなと不敵な笑みを浮かべた海に銀時はため息をついた。やはり、お前が子供たちの背中を押したんじゃないかと言いながら。
「お前は子供を甘やかしすぎんだろ。前回、それで怒ってたんじゃねぇのかよ」
『なんのことでしょうなぁ。別に甘やかしてなんかいねぇよ。むしろ俺が銀時に甘えたようなもんだよ』
「は……?」
『表立って俺達は動けない。だから、お前に矢面に立ってもらったようなもんだ。悪かったな。嫌な思いをさせて』
「お前……」
『俺はもう戻る。脇腹、きちんと手当しろよ?木刀で何とか衝撃を減らしただろうけど、それでも内臓にはきてんだろ?しっかり休め』
そう言って海はパトカーのアクセルを踏んで発進させた。
銀時は海が乗るパトカーが見えなくなるまで見つめる。
「ったく……素直じゃねぇな。もう少し言葉選びが出来ねぇもんかな」
ガシガシと頭をかいて銀時は待っているであろう神楽と新八の元へと歩く。
助けて欲しいなら助けて欲しいって言えばいいのに。海の為ならいくらでも手を貸す。たとえこの身が壊れようとも、君の憂いを晴らせるのであれば。
きっと彼は助けてなんて言わないだろうが。
雨がやんで綺麗なオレンジ色に染まる空を眺めて銀時は一人、不器用な幼馴染を思い微笑んだ。
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