第23幕
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「海、ちょっとツラ貸せよ」
『土方?何の用だ?』
襖越しに土方に声をかけられた海は、首をかしげつつ襖へと手をかける。ゆっくりと戸を開くと、いつも以上に眉間にシワを寄せた土方がそこに立っていた。
『どうしたんだよ。お前、シワが寄りすぎて顔の原型留めてねぇじゃん』
「んなわけあるか!!馬鹿な事言ってねぇでついてこい」
『は?どこに行くんだ。説明してからにしろよ』
グイッと土方に腕を引っ張られて縁側を歩く。土方のもう片方の手にはいつの間にか海の刀があった。
『おい。説明もなしに引っ張り出されたって困るんだが?今、決算書の整理をしてんだから邪魔すんなよ』
「総悟が厄介なことに首を突っ込みやがった」
『総悟が……?』
「あぁ。最近やけに外出すると思っていたんだが……あいつ、勝手に煉獄関に手を出しやがったんだよ」
『煉獄関って……確か……』
「お前も知ってんだろ。天導衆が遊び場にしてる地下闘技場を」
煉獄関。
そこはこの国の実権を事実上握っている天導衆によって作られた賭博施設。天人と侍との殺し合いが行われている場所。
何度か真選組でも話は出たことがあるが、煉獄関には天導衆が絡んでいるため下手には手が出せない。手を出そうものならば真選組全員の首が飛んでもおかしくない案件だった。
『なんでそんな所に総悟が行ってるんだよ』
「あいつのことだ。無駄な正義感で動き回ってんだろ。最初は黙って見てたんだが、もうこれ以上は見過ごせねぇ」
『何かしたのかよ』
「……お前んとこの知り合いも関わっちまってるからな」
『は……?』
ぴたりと海の足が止まる。
それに合わせて土方も足を止めて海の腕を掴む手を離した。
『知り合いって、誰だよ』
「俺はお前の知り合いなんて1人しか知らねぇ。あの銀髪の万事屋しかな」
海は土方の言葉に呆気に取られる。目を見開いたまま海は思考が停止した。"銀髪の万事屋"といったらそれは銀時の事しか思い浮かばない。
『そうか……総悟は銀時を巻き込んだのか』
「巻き込んだのか、巻き込みに行ったのかは知らねぇが。やつと一緒に煉獄関に入ったのは見たな。大方、総悟に唆されて行ったんだろう」
『ふぅん』
海は土方が持っている己の刀を奪い取るように手にし歩き始めた。その後ろを慌てて土方は追った。返事をしたものの、それ以上口を開かない海。その目は怒りが滲み出ていた。
「総悟……自業自得だからな」
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