第21幕
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『助かった……』
海たち含む乗客を助けに来てくれたのは辰馬の率いる快援隊。辰馬が勝手にフラフラと出かけたまま帰ってこないので、ここまで探しに来たとの事。
旅行客は全員快援隊の船に乗せてもらい、地球まで送り届けてくれる手筈になっている。
「よかったですよほんとに。坂本さんのおかげですよ」
快援隊の人達に水を貰って一息つく。ぼうっとしていた頭も段々とハッキリしてきた。横で新八と辰馬が話しているのを聞きながら砂の大地を見つめる。地球がどれだけ住みやすい環境であるかをしみじみと知った。
『うん?』
海の視界に映る生き物。なにやらうねうねと動いているものが砂の中から這い出てきていた。その生き物は下で旅行客の世話をしていた快援隊の人間を巻きとるように持ち上げる。
『おいおい、一難去ってまた一難かよ!』
「な、なんですかあれ!」
「アハハハハッ……いよいよ暑さにやられたかや?」
『笑ってる場合か!バカ!って……へ?』
何かが腹に巻きついてふわりと浮かぶ感覚。新八がこれでもかと言うくらい目を見開き、海に向かって手を伸ばしていた。
「海さん!!!」
『新八!』
もう少しで手が届くというところだったのだが、生き物が触手を動かしたために手をつかもう伸ばした海の手は空を切った。
「海さん!!!!!!!」
いつの間にか新八の横にいた辰馬も触手に掴まれて攫われている。慌てる新八の元に陸奥がやってきて生き物の名前を口にした。どうやら海たちが騒いだせいで、地中で眠っていたものを起こしてしまったとのこと。
「ちょ、自分の上司がえらいことになってんのに、なんでそんなに落ち着いてんの!」
海が目の前で連れていかれて慌てる新八。そんな新八と打って変わって、やけに冷静な陸奥が冷たい言葉で突き放す。
「勝手なことばかりしちょるからこんなことになるんじゃ。砂蟲よ、そのモジャモジャやっちゃって!特に股間を重点的に」
「なに?なんの恨みがあんの?」
この人は辰馬の股間になんの恨みがあるというんだ。そんな疑問が浮かぶ新八の耳に辰馬の笑い声が届く。
「アハハハハッ!わしがこんな所で死ぬか!」
胸元から取り出したのは銃。自分と同じく触手に巻かれている快援隊の仲間を助けるために、砂蟲の触手を撃って下へと落とす。
『こんの……!クソ……刀を屯所に置いてくるんじゃなかった!』
なんとか触手から逃れようともがいてはいるのだが、触手は緩む気配はない。むしろきりきりと締めあげられている気がする。
刀があれば斬り離せるが、生憎今日はただの旅行だと思って屯所に置きっぱなしにしてある。
『くそっ』
「海音!逃げい!」
『辰馬!』
海を巻き付けている触手へと銃を向ける辰馬。だが、散々触手を傷つけられた砂蟲が黙っているわけもない。触手が大きく動いたかと思ったら、後ろには砂蟲本体が出てきていた。
「あ、落としてしまったのぉ」
『辰馬あぁぁああぁ!!』
てへっ!と言いたげな辰馬に海の怒号が飛ぶ。触手は快援隊の船へとまとわりつき、船ごと地中へと引きずり込もうとしていた。
『まずい……新八達が!』
船が引っ張られていくのが見えた海は殊更、もがくのを強くする。
『ぐっあ……』
それを許さないとでも言うのか、触手の締りが強くなった。圧迫感で息のしずらい状況。そしてこの照りつける太陽の暑さで体力がどんどん削られていった。
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