第21幕
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「いたっ!いたっ!いたた……何すんじゃ!」
辰馬の腕を海が。髪を銀時が引っ張りながら船の中を走る。
「誰じゃ?わしをどこに連れていくがか?」
『悪いな、ちょっと我慢してくれ。乗客と俺たちの命がかかってんだよ』
痛がる辰馬に申し訳なさそうな顔を向けてはいるが、引っ張る力は緩めずに辰馬を走らせる。
「てめぇ、確か船大好きだったよな?操縦くらい出来んだろ?」
「おんしゃ、なんでそげなこと知っちょうか?……あれ?どっかで見た……」
自分を掴んで走らせている2人の姿を見て辰馬は何かを思い出す。それはかつて共に戦場を走った仲間の姿。
「おお、おお、おお……!金時と海音じゃなか!おんしゃ、なぜこんな所におるか?久しぶりじゃのぅ!珍しいとこで会うもんじゃ!酒じゃ!酒を用意……」
『相変わらずだな……辰馬は……』
操縦室へと入る扉が眼前に迫る。銀時が辰馬を掴んでいる手を引いたのを感じて海は手を離した。銀時はそのまま辰馬を扉の開閉パネルへとぶつけて叫んだ。
「銀時だろうがよ!銀時!しかも、海の名前まで間違えてんじゃねぇか!お前、それやめろって言っただろうが!お前がそうやって間違えて覚えてるせいで俺とアイツがどんだけ怒られたか知ってんだろうが!」
海音という名前はかつて銀時と晋助がふざけて海につけたあだ名だった。それを今でも使い続けている辰馬に海は白い目を向けた。
『お前らが辰馬に教えたのが悪い』
「いだっ!」
元はと言えば辰馬に教えた二人が悪い。銀時の後頭部を殴りつけると、銀時は痛そうに顔を歪めて「俺のせいじゃねぇ!」と吠えた。
『辰馬、頼む。船の操縦をしてほしいんだ』
「おお……そげな顔で頼まれたら断れんのぉ。相変わらず可愛い顔しゅーなぁ」
『辰馬、早くしてくれ』
「船に爆弾仕掛けるなんぞどうかしとるぞ」
そう言いながら辰馬はモニターをいじる。その姿を静かに見ていた海と銀時の後ろから新八と神楽が現れた。
『無事だったか?』
「大丈夫だったアルヨ!海も大丈夫だった?」
神楽が海を見るなり飛びつく。神楽の頭を撫でながら、こっちは大丈夫だよと笑って答えた。
「よーし、準備万端じゃ!行くぜよ!」
モニターの操作が終わって、次は船の操縦をすべく舵を取る……のだが、辰馬が手に取ったのは倒れている操縦士の足。ため息をつく海と辰馬の髪を掴んで殴ろうとする銀時。
『辰馬、頼むからしっかりしてくれよ』
呆れた顔で声をかける海。
ふと、窓へと目を向けると船がどこかの星に落ちかけていた。この星に不時着は免れないだろう。
頭を抱える海の耳に、新八が舵を見つけたことを知らせる声が聞こえた。舵を動かそうとするも重くて動かせない。
3人掛りで舵を動かそうとしてるのを見た辰馬が止めさせようと手を出すが、それがまた裏目に出る。
『ごめん、近藤さん。俺帰れるかわかんないわ』
もうすぐで衝突する星を眺めながら海はぽつりと呟く。走馬灯のように真選組の仲間たちの顔が浮かんでは消えていった。
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