第20幕
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『あれ?銀時か?』
昼ご飯を済ませ、店から出たところで銀色の髪が見えた。ここいらの銀色の髪なんて銀時くらいしかいない。
銀時一人でこんな所をうろついているとは。今頃新八が事務所を掃除しているのだろうな思うと不憫で仕方ない。
『一言言っておくか』
これでは新八が呆れて万事屋をやめかねない。出来れば新八と神楽には銀時のそばにいて欲しい。生活面の為に。そう思ってふらりと歩く銀時の側へと駆け寄った。
『銀時』
「あ?海じゃねぇか、なんだ?仕事か?」
『見回りの途中でな。お前はこんな昼間っから何やって……?』
銀時を呼び止めると、銀時だけでなく近くにいた女性も立ち止まってこちらを見る。まさか連れが居たとは思わなかった海は、慌てて銀時から離れようと後退った。
『悪い、取り込み中だったか』
「んなことねぇよ。海ならいつでも話しかけてきても大丈夫だからよ。なんなら夜中に二人きりになったっていいんだぜ?」
『こんにちは。すみません、どうやらお取り込み中だったみたいですね』
「い、いえ、私は大丈夫ですので」
依頼の途中だったのかなんだったのかは知らないが、邪魔をしてしまったのは事実だ。すみません、と一言謝って頭を下げれば、女性の方も頭を下げた。
そして何故か睨まれた。
『あ、あの?』
「銀さん……この人誰なの?」
「あ?なんでお前に説明しなくちゃいけねぇんだよ」
「こんな……こんな綺麗な人見た事ないわ!銀さん、貴方この人とどういう関係なの!?」
『いや、お前が誰だよ……』
銀時に詰め寄る女性は海を指差して騒ぐ。それを面倒くさそうに払い除ける銀時。
あぁ、これは自分がいない方がいいだろう。そう悟った海は女性と銀時に柔らかく微笑んだ。
『仕事の途中なのでここらへんで失礼させていただきますね』
「えっ、ちょ、海!待った!これは別に違うから!」
何が違うんだ。別に自分はなんとも思っていない。
弁明しようとする銀時を無視して見回りの続きをしようとした海の右手首を強く掴む手。
「待ちなさい!」
銀時にいた女性が海の手を掴んで睨んできていた。なぜこの女性にここまで恨まれているのか。自分が何をしたというのか。
『なにか?』
「貴方……銀さんの元カノか何かかしら?」
暫しの間。この女性は今なんと申した?"元カノ"?元彼女?自分が?誰の?
「はあぁああぁあぁぁ!?おまッ、なんつー間違いしてんだよ!元カノでも今カノでもねぇわ!確かに今カノにしてぇけど、それには海の許可が必要だろうが!てめぇ、勝手なこと言ってんじゃねぇよ!!」
顔を赤くした銀時が彼女の胸ぐらを掴んで揺さぶる。なんか今、おかしな単語が聞こえたような気がしたが、もう全てスルーした。
「やっぱり!貴方銀さんの元カノなのね!?もう銀さんは私のモノよ!」
『え?あ、はい。どうぞどうぞ』
「海ィィィィ!!そこは素直に受け止めなくていいから!」
銀時と女性が道のど真ん中でギャーギャー叫んでいるのをうるさそうに見つめる。もうこの二人を騒音被害で捕まえた方がいいのではないだろうか。主に自分の精神衛生上のために。
『別にそいつはくれてやっても構わないが、ただし』
未だに騒ぎ散らしている女性に向けて静かに声をかける。銀時が海を見て目を見開いて驚きの顔をしたのが見えた。
『そいつをあんたが飼い慣らせるかは微妙だけどな』
ふん、と鼻で笑って海は見回りへと戻った。後ろで銀時が何か騒いでいる気がしたが、これも無視。
何故かざわつく胸に疑問を抱きながら江戸をふらりと歩き回った。
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