第19幕
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夜が明けて辺りが太陽の光で明るくなった頃。屯所の庭にある木に吊るされている赤い服の女。
近藤と総悟がその女の前で腕を組み何やら話し込んでいた。
『まったく、人騒がせな天人だな』
幽霊だと思われていた女はただの天人だった。最近、会社の上司との間に子供ができ、その子供を産むためにエネルギーが必要だった。餌とするエネルギー、もとい血液を蓄えるためにここへ来たのだそう。
むさ苦しい男どもが溢れるこの屯所に。
『血を吸うならもっと他んとこに行こうとは思わなかったのかよ』
「餌場だってよ。お前ら餌だと思われてんのかよ」
『血を吸えれば誰でもいいんだろ。人間なら誰でも餌だってことなんだろうよ』
「うわ、なにそれ。怖すぎるんですけど」
『今まさにそこを飛んでる蚊もあの天人と同じだってことだろ』
縁側で横になっている銀時の周りをブーンと飛ぶ蚊。それを手で鬱陶しそうに払いのける。
『まったく、はた迷惑なやつらだ』
「まったくだ。散々人をコケにしやがって」
『お前らが怖がりすぎなだけだろうが』
「はァ!?俺は怖がってなんかいねぇ!」
「いやいや、お前怖がってたじゃん?随分と情けないツラしてたじゃない」
「てめェの方がビビってただろうが!俺は驚いてただけだ!」
「お、俺だってびっくりしただけですー!」
また始まった。この二人の言い合いは聞いているだけで疲れる。こんな低レベルな喧嘩を始めるのはコイツらぐらいだろう。
こんなのに付き合わされるのは時間の無駄だ。
一人、騒がしい縁側から離れて自室へと戻る。
「あっ、海さん!」
『ん?山崎?』
こいつは本当にタイミングが悪い。なんで毎回部屋に入ろうとする時にばっか顔を出してくるんだ。
自室の襖へと手を掛けていた時に横から山崎に声をかけられて海は振り返る。
「これどうぞ」
『え?』
「なんだかお疲れみたいだからって。万事屋の旦那が海さんに甘いものでもあげろって言ってたの思い出して。さっき買ってきたんです!」
山崎から手渡されたのはパックに入った団子。あんこやみたらしやらと色んな種類の団子を受け取ってまじまじと見つめた。
「あ"。団子嫌でしたか?」
団子を見つめたまま固まる海に山崎は団子が嫌いなのかと慌てた。
『っふ……いや、大丈夫。食べれる』
「海さん?」
『ありがとな、山崎』
「えっ……あっ、はい!!!」
山崎に向けて笑みを向ければ、山崎は顔を真っ赤にして返事をした。
海が書類をすると言って部屋にこもったあと、ルンルン気分の山崎が土方と銀時に先程のことを自慢してしまったが故にボコられたのはまた別の話。
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