第19幕
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『ん……』
パチリと目を開けて天井を見上げる。部屋の中は真っ暗だった。
『夜、か』
銀時に寝かされた時はまだ朝だったはず。あれから何時間寝ていたのか。
『書類やんねぇと』
寝てしまった分を取り戻さなくては。まだぼーっとする頭のまま、布団を畳んで押し入れの中へと突っ込んだ。
机の上にある書類を手に取る。まだ眠さ残る頭で、昨日は確かここまで終わらせたから今日はこの辺りをとブツブツ呟きながら書類を並べていく。
さて、書こうかとペンを手に取ると同時に廊下の方が騒がしくなった。
『今度はなんの騒ぎだよ』
ペンを置いて襖を開ける。廊下へと顔を出すと、目の前を総悟と新八、神楽が走り抜けていった。すぐに3人が走っていった方へと顔を向けたが、もう姿はなかった。
『あいつら……』
まだ屯所にいたのか。確か拝み屋だかなんだかと言って入り込んでいたはず。
土方は何をしているんだ。アイツが銀時を野放しにするわけが無い。そう思って、副長室へと向かおうと縁側にでると、総悟達が来た方向からまたもや走る足音。そちらへと目を向けると、今しがた探しに行こうと思っていた土方と銀時が並走していた。
「海ィィィィ!!早く逃げろおおおおおおお!!」
必死の形相で走ってくる二人と、その後ろにぴったりとくっついている赤い服の女。女の顔は生きている人間とは思えないほど暗く、生気の感じられないものだった。
『赤い服の……女』
"赤い服の女が──"
確か山崎がそんなことを言っていた気がする。
あいつのせいでうちの隊士達が寝込むようなことになっている。人騒がせな女には説教をしなければ。
『おい……お前、うちの奴らに一体何しやがった』
「海!!そんなことはいいから早く逃げるぞ!」
「幽霊に話なんか通じるわけねェだろうが!いい子だから一緒に来なさい!!!」
『ちょ、おい!』
土方と銀時に腕を引っ張られて引きずられるように走る。その間にも後ろについてきている女。
その女をよく見ると、腰あたりに羽がついているのが見えた。その羽を動かして飛んでいるのだろう。
羽?幽霊なんかに羽なんかついているのか?
『お前、幽霊じゃねぇだろ』
逃げるのに必死な土方と銀時には聞こえていなかったのか、俺の言葉に「え、あ、はい」と掠れた声で返事をした女。
幽霊でもなんでもない女は「やっとまともに会話できる人に会えたぁ」と喜んでいた。
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