第四十五幕
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「出血は多いが怪我自体はそんなに酷くはない。だが、頭を切ってるから暫くは安静にしておくことだ」
『はい……』
エルヴィンが呼んできた医者に手当され、頭には包帯が巻かれる。治療中ずっとリヴァイに見られていて、カイは居心地が悪かった。
「それじゃあ私はこれで」
「わざわざここまで来てもらって申し訳ない」
「謝ることは無いよ団長さん。患者がいるなら私らの出番だからね」
帰ろうとする医者にエルヴィンは声をかけて部屋の扉を開ける。そのまま二人は廊下へと出てしまい、部屋にはリヴァイとカイが残された。
壁に背を預けたままリヴァイは沈黙を貫き、カイもリヴァイから目を逸らしたまま。
静寂がこんなにも辛いなんて。
とはいえなにを話せばいいのか分からない。勝手なことをしてしまったことについて謝るべきか、それとも先程の告白について話せばいいのか。
そもそもカイがリヴァイの事を好きになっていたのを気づかれたのはいつだ。
色々と聞きたいことはあっても口に出すのがはばかられる。聞けば教えてもらえるのだろうけど、あのジト目を受け止めながら聞く勇気が出ない。
『(痛い痛い。普通に睨んでくれればいいのに、あの中途半端な目は逆にしんどいって)』
何を考えているのか全く分からない。表情から感情を読み取ろうにも無表情過ぎて何も考えていないようにも見える。でも目だけはじっとカイを捉えているもんだから、きっと何かしらは考えているのだろう。
『(なんだ?何を言えばいいんだ?どうすればいいんだこの状況!)』
普段なら思いもしないことも思ってしまう。早くエルヴィンに戻ってきて欲しいなんて口が裂けても言いたくないこと。まさかこんな事を思う日がやって来るとは。
「カイ」
『(誰か来てくれないか……。もうこの黙りはキツイ)』
「おい」
『(もうなんなら寝転がるか?丁度ベッドに座ってるし。このまま寝た方が楽になるか?怪我してる訳だし?早く治すためとかなんとかって言い訳使って寝れば良くない!?)』
「聞いてんのか」
『(よし。そうしよう。このまま寝転がろう!!)』
沈黙から逃れようとカイは意を決して身体から力を抜く。ぐらりと背中からベッドへと倒れ込もうとした時、目の前にリヴァイの顔が飛び込んできた。
「おい!!」
『リ、ヴァイ!?』
傾いていく身体をリヴァイは支えようとしてくれたのか肩に手を掛けられる。だが、そこから起き上がれずそのままベッドへと倒れた。
形的にはリヴァイに押し倒されているかの構図。真上にあるリヴァイの顔はこれでもかと目が見開かれている。相変わらず綺麗な瞳だな、なんて呑気に考えていたら部屋の扉がガチャリと開いた。
「カイ、どうだ?具合は大丈夫…………か」
『…………』
「…………」
「お邪魔だったようだな。リヴァイ、カイは怪我をしているんだから程々にしてあげなさい」
「……ああ、分かってる」
パタン、と閉められる扉。
『リヴァイ、』
「タイミングの悪いヤツめ」
事故だと言い張ってもエルヴィンは聞きはしないだろう。あれは完全にそう思い込んでる顔だった。
「カイ」
『な、なに』
「体調はどうだ」
『そんなに悪くない。少し頭が痛いくらいで』
「それで無視してたのか?」
『無視?なんのこと?』
「は?声掛けただろうが」
『え、ごめん。聞いてなかった。なに?』
「はっ倒すぞお前」
『倒れてる状態ではっ倒されても困るんだけど……』
この状態からもっと倒されるとはどういうことだ。そうツッこむとリヴァイは押し黙ってしまった。
『リヴァイ?なに?』
「何じゃねぇよ」
顔の横にあったリヴァイの手がカイの頬へと触れる。
「分かってんのか」
『えっと……まあ、そりゃ……』
「ならいい」
逃がさないというように顔を押さえられる。段々と近づいてくるリヴァイの顔。こつん、と額がぶつかる。
「好きだ、カイ」
『う、ん』
至近距離で見つめ合うのが恥ずかしくて瞼をギュッと閉じる。
その直後に唇に柔らかいものが押し当てられた。以前した優しいキスではなく啄むように唇が吸われる。呼吸が苦しくなり、口を開けるとぬるりと舌が入ってきた。
『んっ……んん、ふ、』
「鼻で呼吸しろ」
『そ、ん……う……ん、はっ』
口の中を舌で撫で回される。奥で縮こまっていた己の舌も舐められた。
初めての感覚に身体がゾクゾクと震える。縋るようにリヴァイの服を掴むと、足の間にあったリヴァイの膝にグッと股間を押された。
『んっ、あ……リ……んぅ』
グリグリとそこを攻められ、徐々に硬くなっていく。
「カイ」
『あっ、は、リヴァイ……急、すぎ……』
「こっちはずっと我慢させられてたんだ。その分くらいはもらってもいいだろう」
『し、らな……ちょっと、待って』
「待てねぇよ」
乱れた呼吸を整えようとしても再度口付けられてしまう。抗議の念を込めてリヴァイの腕を叩いたが無視されてしまった。
『(ああもうどうにでもなれ。恥ずかしさで頭がパンクしそうだわ)』
もう何も考えられない。いや考えなくていいのかもしれない。
このまま身を委ねてしまおう。
口内で動き回っている舌を自分の舌でちょんちょんと突く。リヴァイの舌はピタッと止まり、カイの出方を伺っていた。
ここからどうすればいいのかわからず、ひたすらつついていたら唇がゆっくりと離れた。
「お前……」
『な、なんです……』
「可愛いことしてんじゃねぇよ」
『かっ……』
「教えてやるから覚えろ」
そう言ってリヴァイは優しく微笑む。三度目のキスは一回目に比べてうんと甘ったるく、カイの脳内を蕩けさせた。
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