第四十五幕
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「おい」
「あ?なんだ……」
男たちの笑い声の中で凛と聞こえた声。聞き覚えのある声にハッとして顔を上げた瞬間、当たりは緑色の煙幕に包まれた。
「な、なんだこりゃあ!!」
「どうなってんだ!!」
慌てふためく男たちの声に呆然としていると、目の前でガシャン!という金属音。
「カイ、お前は何回言ったら覚えるんだ」
『リヴァイ……』
「説教はあとだ。逃げるぞ」
グイッと腕を引っ張られて無理矢理立ち上がらせられるも、頭痛のせいでその場にへたりこんでしまう。痛む頭を手で支えた時、ヌルッとしたものが手のひらについた。
『あ……』
「おい、どうし……あ?」
『ごめん。ちょっとこれは……やばいかも』
ただ殴られただけだと思っていた。まさか血が出るほどの強さだと思わず。
「掴まれ!上に帰る!」
『リヴァイさ……』
「黙ってろ!」
手にベッタリとついた血を見たリヴァイは瞠目して顔を青くさせた。荒い手つきで身体を掬われてその場を飛び立つ。
『エレンは……?』
「あっちはミカサたちがいる。エレンのことよりてめえの心配をしてろ!」
『ごめ、なさい……こうなるとは思って……』
力なく頭をリヴァイの肩に預ける。気を抜いたら意識が飛んでしまいそうだ。死ぬことはないだろうけど、ここで気絶してしまってはリヴァイに迷惑がかかる。
『リヴァイさん……どうしてここに』
「お前が残したんだろうが」
『のこし……た?』
「エルヴィンにバカ正直に話したんじゃねぇのか。ご丁寧に書類まで投げつけてな」
『あのクソハゲ……しつこかった』
「そりゃそうだろうな。俺が聞き出せと言ったんだ」
『な……ん……』
「おい、しっかりしろ!」
もうこれ以上は意識を保っていられない。リヴァイが必死に声をかけてくれているが、もう聞き取れないくらい混濁してきている。
「カイ!」
『リヴァ……さ、も……』
「寝るな!」
『む……』
そう言われても無理だ。頭の痛みがあまりにも酷い。このまま意識を保っている方が地獄。出来ればこのまま眠らせて欲しい。
「カイ!!」
少し眠るだけだから大丈夫。そう伝えようと口を開いたが言葉にならなかった。その代わりにリヴァイの頬に手を伸ばしてとんとんと撫でる。
『(ああ、血がついちゃった)』
汚しちゃってごめん、と謝ることも出来ず、カイの意識はプツリと途切れた。
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