第四十四幕
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「カイ!!」
『おー、エレン。よく待機してたな偉い偉い』
「け、怪我してるじゃねぇか!」
『ちょっと切っただけだから大丈夫だって』
上から降りてきたエレンはカイの顔を見て青ざめる。
頬に指を滑らせると鋭い痛み。指先にベッタリとついた血を見てカイはやっちまった、と笑う。
これは確実に怒られる。見える場所に怪我を作ってしまったのだ。何もしてなければ出来るはずのない傷。
『治るまでは顔を合わせないって出来んのか?』
「カイ?」
『うん?あ、なんでもない。とりあえずこいつら片付けたから自由に動き回れるだろ。視察の続きを──』
しよう。と続けようとしたカイの視界に入り込んできた人間。ぞろぞろと出てきたそいつらは手に様々な武器を持っていた。
『したかったんだけどなぁ。そう上手くは行かないらしい』
「おい、お前らなにやってんだ!」
あちこちと逃げ回っていたせいで他の仲間たちにも知られてしまったようだ。仲間の仇討ちと言わんばかりに集まってくる。
「どうするんだよ……これは流石に相手しきれないだろ」
『逃げる一択しかないな。これ以上は構ってらんねぇわ』
外した装置を手早く取り付けてアンカーを飛ばす。エレンを片腕で抱き上げて近くの建物の上へと飛び上がった。
『一先ず、さっきの入口のところまで逃げ込むしか……』
「はっ……カイ!!」
カイの方を振り返ったエレンが目を見開いて叫ぶ。咄嗟に振り向いて後方を確認したが遅かった。
『い゙っ……!』
「カイ!!てめえ!!何しやがんだ!」
「それはお前らの方だろうが!!」
どうやら待ち伏せをされていたらしく、カイの後ろには棒を持った男がいた。頭を思い切り殴りつけられて視界がぐにゃりと歪む。早くここから逃げなければいけないのに、頭を少しでも動かすと強い痛みが走って動けなかった。
『エレン……先に……』
「置いていけるわけないだろ!クソッ、この!!」
先に逃げろと言ったのにエレンはカイの言うことを聞かずに男に殴り掛かる。そんな事をしていれば騒ぎを聞きつけてきた下のやつらが上に来てしまうわけで。
「捕まえたか!!」
「ああ!だが、このクソガキが!」
「ガキなんか放っておけ!目当てはその男だ!あいつらはそいつにやられたからな」
突き飛ばされて転がるエレンに手を伸ばすも届かない。
「やっと捕まえたぜ。覚悟しろよ坊主」
『なにを……覚悟しろって……?』
「そうだな。まずは俺の仲間をボコボコにした礼をしねぇとな。お前ら、やっちまえ」
『(あー……これは顔を合わさない程度では済まないかも)』
にじりよってくる男たちに身構える。これはもう逃げられない。
『(ごめん、リヴァイさん。勝手なことした)』
頭上で振り上げられる木の棒。それを受け止めるべくカイは強く目を瞑った。
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