第四十四幕
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『ええと……ここら辺の子たちはまず医者にみせないとだな。それと……』
「カイ!あいつら来てる!」
『うえ!?マジ!?早くねぇ!?』
わたわたしながらメモを取り、足早にその場を離れる。上に逃げてしまえばこっちのもんで、追っ手の男どもは悔しそうにカイたちを見て歯噛みしていた。
『これじゃまともに調べられないな』
「今日は出直した方がいいんじゃないか?」
『その方がいいんだろうけど……』
出来れば今日中、または明日までに何とかしたかった。孤児院を設立するのにも時間が掛かるだろうし、その前に子供たちの健康面の確認もしなければならない。ここまで見てきた子供たちは誰もが体調や精神面に問題があった。上に連れて行ってから対応するより、今の段階である程度把握していた方が後々動きやすくなる。
そう思って視察に来ているというのに。
「てめえら!!降りてこい!!」
『降りて来いって言われて素直に降りるやつが何処にいるんだよ』
地下街へと入ってきてからずっと彼らに追われ続けている。どうやら彼らは地下街では有名な盗賊団の一味らしい。彼らに目をつけられた哀れな兵士として、街の人たちから見られている。
『仕方ない。今日は引き上げるか』
「その方がいいだろ。逃げ回りながら調べるのは大変だし」
『だよなぁ。まったくしつこい奴らだ。別に捕まえたところで取れる金銭なんて無いのに』
「いや……あいつらの狙いは金だけじゃないと思う」
下で騒いでいる奴らをぼうっと見下ろしながらエレンに問いかける。
『なあエレン』
「なに?」
『俺の顔ってそんなに人目を……特に男の目を引く顔してんの?』
「そりゃ……まあ……」
憲兵といいあの男どもといい、何かと女の代わりにしようとしてくる。そりゃ女を相手にするよりかは良いのだろう。男であれば子を宿すことはないから。後腐れなく終わらせられる。
『元気すぎるだろ。その元気があるならもっと違うことに使えっての』
「……ごめん」
『え?なんでエレンが謝るんだよ』
「いや、えっと……その、」
顔を真っ赤にしてエレンはぷいっと顔を背ける。その意味がわからず、カイは首を傾げた。
『なに?まさかエレン、お前も──』
忘れてた。そういえばエレンに告白されたんだっけか。
『……待った。待て、待て待て』
そこで疑問が浮かび上がる。下のやつらや憲兵の奴らは自分のことを女の代わりにしようとしていた。要はカイは突っ込まれる側。
ならばエレンは?今顔を赤くさせているということはカイの事をそういう目で見たことがあったということだ。彼はどういう風に見ていたんだ?
『エレン』
「ご、ごめん!俺、いやえっと……違っ」
『怒らないから言ってみ。エレンの中で俺は"どっち"だったんだ?うん?』
「ど、どっちって……?」
『上か下か』
「う、うううううえ!?え、い、」
ぶわわわっと真っ赤になっていく顔。混乱しすぎてもはや言葉にすらなっていない。
「ちが、うえ、じゃ……あ、いや、上……でも、えっ、へ!?」
『あー、もういいや。うん。なんかこっちが恥ずかしくなってくる』
問い詰めているこちらも顔が熱くなってくる。もう気にしなくていいとエレンに言うも、カイの声が聞こえていないのか無意味に喚いていた。
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