第四十四幕
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~Levi~
「地下街に視察だと?」
「ああ、投げ渡された紙にそう書いてあった」
カイとエレンが本部を出ていったあと、リヴァイはエルヴィンの元へと向かった。
「この間の会議のやつか」
エルヴィンの手元にある書類に目を通す。そこにはリヴァイがヒストリアに進言したことが書き連ねてあった。
地下街に住む子供たちの支援、及び地下街の衛生管理や衣食住の確保。地上で孤児院を設立し、そこで子供たちの世話をする。地下で暮らしている大人たちには真っ当な仕事を与えて犯罪から抜け出させるというもの。
「これはザックレーが指揮するはずだったんじゃないのか」
「どうやらカイが一任されたらしい。ザックレー総統が決めたようだ」
「チッ……。だから言っただろう。カイに変な役目を押し付けるなと。あいつは気がまわりすぎる」
「私が薦めたわけじゃない。女王陛下が決めたことだ」
あのクソガキ。
言葉にすれば不敬とみなされる。心の中で悪態つきながら、リヴァイは深くため息をついた。
「それであいつらは地下街に行ったのか」
「視察に行くとな。色々と見てくるからすぐには戻れないと言っていた」
「あのバカ共」
「リヴァイ、カイもエレンも地下街を見るのは初めてだろう。下がどういう所なのかも知らないはずだ」
「分かってる」
「なら言いたいことは分かるな?」
「はなからそのつもりだ。立体機動装置の使用を許可しろ」
「ああ、好きに使ってくれ」
「了解だ」
カイとエレンを連れ戻す。それがエルヴィンの命令だ。
二人だけで地下街を歩き回るなど危険すぎる。そもそもなんでカイは自分ではなくエレンを連れ立って行ったんだ。リヴァイが地下街出身だということは知っているはずなのに。
「あのバカが。離れるなと言ったのを忘れてやがるな?」
エルヴィンの部屋を出て立体機動装置を取りに廊下を走る。早くカイたちを見つけなくては。でないと。
「リヴァイ兵長」
「あ?なんだ、ミカサ」
急いでいるというのにミカサに声をかけられて思わず声が低くなる。
「エレンがどこにも居ないんです。カイも」
「あいつらは地下街に向かった。これから連れ戻しに行く」
「地下街?どうしてそんなところに……」
「説明はあとだ。お前もついてこい」
「了解です」
人手は多い方がいい。立体機動装置で飛び回って探すとしても、一人で探し回るよりは遥かに見つけやすくなる。
「ミカサ、ジャン達にも声をかけろ」
「え?」
「仕方ねぇからカイの仕事を手伝うぞ」
「は、はい」
別にカイは遊びに行ったわけではないのだ。彼は与えられた仕事をこなす為に地下街へと向かった。それに元々はリヴァイが言い出したこと。それならば手伝うべきだろう。
ただ、エレンに声をかけたことがどうしても気に食わない。どうしてリヴァイに声をかけずに去っていったのか。どうして……。
「(クソガキの方が頼れるってか)」
それともあの時、エレンを行かせずに自分がカイの元に行っていればこうならなかったのか。
モヤモヤと渦巻く鬱憤を晴らすようにリヴァイは手荒く立体機動装置をはめていく。
「兵長!クラウンさんとエレンが地下街に行ったって本当ですか?」
「ああ。さっき出ていくのを見かけた。ジャン、お前らも準備しろ」
「了解です!」
ジャンたちの準備が終わるのを今か今かと待つ。
「(変なことに巻き込まれてなければいいが)」
地下街は何かと巻き込まれやすい。ただ道を歩いているだけでもイチャモンを付けられて乱闘騒ぎになるのだ。
ただの暴力だけならいいだろう。それなら返り討ちにできる。カイはそれほど弱くは無いのだから。だが、変な目で見られでもしたら。一緒に連れて行ったエレンが捕まりでもしたら。
カイは確実に抵抗しなくなる。エレンを守ることを第一優先して。
「(だから嫌なんだ。あいつらが一緒に出歩くのは)」
「リヴァイ兵長!準備出来ました!」
「行くぞ。エレンとカイを連れ戻せ」
「はい!」
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