第四十三幕
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『悪い!待たせた!』
「そんな待ってないから大丈夫。俺も今来たところだから」
『そうか?でも時間守れって言ったのは俺だからさ。ごめんな』
「いいって。それよりどうしたんだ?」
『いやあ……ここに来る途中でクソハゲに捕まって』
「クソハゲ……エルヴィン団長か」
立体機動装置の準備をし、もう出られるというところでエルヴィンがカイの部屋にやってきた。急いでいるから後にしてくれと言ったのにエルヴィンは人の話を聞かずにウォール・マリア奪還作戦についてベラベラと話し始めてしまった。
カイの意見など一切聞かずに一方的に話してくるもんだから意味がわからず、話の途中から恐怖を感じた。頭の使いすぎでついにバカになってしまったのだろう。
──ところでカイ、そんなに急いでどこに行くんだ?
──あ!?今から地下街に行くんだよ!さっきから言ってるだろうが!
──一人でか?
──エレンと!約束した時間に遅れるからもう話は聞かないからな!
──どれくらいで戻ってくるんだ?
──知るか!!色々と見てこなきゃいけないんだからそんな早くには戻れない!
あれやこれやと聞いてくるエルヴィンにイラッとしてしまい怒鳴るように言ってしまった。人が急いでいるというのにひたすら話しかけてくるあっちが悪い。
『どこ行くんだ何するんだってうるさいから書類投げつけてきた』
「いいのかよそんなことして」
『大丈夫だろ。殴ってないだけマシだと思って欲しいわ』
「まあ……そりゃそうだけど」
カイが地下街に視察に行く理由はあの書類に書いてある。一通り目を通してくれれば急いでいるわけも分かってくれるはずだ。
『さて、行くか』
地下街への行き方はザックレーから事前に聞いている。その道を通って行けば変な輩に絡まれることは無いだろうと。
「カイは地下街に行ったことあるのか?」
『無いよ。話に聞く程度だからどんな場所かまでは。治安が悪いっていう印象しかないな』
エレンも地下に行くのは初めてだろう。二人して慣れない場所に行くのは危険な行為だというのは承知している。本当はカイだけで行くべきなのだろうが……。
「うん?カイ?」
『いや……エレンがついてきてくれて安心するなぁって』
「へ?」
『一人で地下街に行くつもりだったんだよ。俺の仕事だったし。でも、今まで地下街の悪い噂しか聞いてこなかったからちょっと不安だなぁと思ってて。これ一人で行って大丈夫なのか?と』
本当は地下街をよく知っているリヴァイについてきてもらおうかと考えていた。彼なら子供たちがたむろしている場所などを知っているだろうから。
でも、頼めなくなってしまった。あんな穏やかな声色を発した人を連れていくのは酷だろう。
『(憲兵だケニーだ、忙しかったんだ。今はゆっくり休んで欲しい)』
休める時に休ませてあげなくては。どうせまた数ヶ月したら忙しくなるのだから。
「カイがついてきて欲しいって言うなら俺はどこでもついていくから」
『うん?』
「だから……一人でどっか行くなよ」
『あ、うん。それは助かるけど……色々と振り回すことになるけど大丈夫か?』
「そんなのお互い様だろ」
『そう?じゃあ……手始めに、まずはここを確認しに行きたいんだけど』
胸ポケットから取り出した地下街の地図をエレンに見せる。すると、エレンは何故か顔を顰めて唸った。
『え?なに?どうした??』
「~~~っ!なんでもないッ!どこ行くんだよ!」
『えっ?あ、ここなんだけど……?』
なんか変なことを言っただろうか。ムッとした顔のエレンはカイの手から地図を奪い取って見る。
「もう……なんなんだよ!」
『それは俺が聞きたいんだけど……』
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