第三十九幕
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「というわけで、調査兵団の冤罪は晴れ、君たちは正当防衛。王都も行政区もザックレー総統が仮押さえ中だ。今のところ貴族達の反乱も起きてない。我々は自由の身だ」
ハンジが持ってきた報せはカイたち調査兵団の潔白が証明されたものだった。
囚われている兵士たちも解放され、エルヴィンも処刑の危機から脱した。
「あれ?なんだか嬉しそうじゃないね?」
『嬉しいっちゃ嬉しいけど……これから大変だなと』
「これから?」
民衆は今まで王政を信じて生きてきた。その王政が民を見放して保身を選んだことが公になる。貴族達の反乱は起きずとも民衆の反乱が起きるかもしれない。彼らは今まで騙されていた身だ。
『それ誰が抑えるんだ?』
「それは……これから玉座に座る者が……」
『誰がそこに座るんだよ。その役を誰に押し付けた?』
「……ヒストリアだ」
ぼそりと呟いたリヴァイはなんとも言えない表情。こうなることは分かっていたことだが、いざその状況になってしまったらこうなるだろう。
『まだ十代半ばの女の子なんだよ』
大切な友人を失くし、己の出自に人生を狂わされ、次は民衆の矛先を向けられる立場になる。
それが彼女の運命なのだから諦めろと言われても納得出来ないだろう。
『んー……』
「カイ?」
『いや、なんでもない』
ハンジとリヴァイから訝しげな目を向けられてカイは笑みを貼り付ける。
『(側に誰かを置くべきだ。じゃないと精神的にキツイだろ)』
これまで苦楽を共にした104期組の誰かを側近として置いた方がいい。なんでも相談できるような人物が傍にいれば彼女も安心するだろう。
それを誰にするかという問題だ。
『んー……んー??』
「なんだ。クソが漏れそうな顔をしやがって」
『漏れると同時に良い考えが出てくれたらいいんですけどねぇ』
「は?」
『いや、こっちの話。で?エレンとヒストリアはどうするって?』
調査兵団の冤罪は晴れた。その次はエレンとヒストリアを救出しなくてはならない。まだまだやることは山積みだ。
「ハンジが特定した。これからそこに向かう」
『了解。と言ってもこのまま行くわけじゃないんだろ?』
「ああ。確実に待ち伏せされてるはずだ。迎え撃つのに準備しねぇとな」
対人機動部隊と再戦する。その為に策を練らなくては。
『なあ、あの立体機動装置に致命的な欠点があるって言ったらどうする?』
「欠点だと?」
首を傾げるリヴァイにカイはにんまりと口角を上げた。
.