第三十八幕
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~Levi~
「あの……言ってあげれば良かったんじゃないんですか?」
「何をだ」
「怪我、してるから危ないことはって……」
騒がしいのが居なくなり、静かになったところでアルミンが恐る恐ると言ったふうに口を開いた。ミカサも同じなのか、こくこくと頷いている。
「言ったところで聞きやしねえよ。そんな心配必要ねえって返されるだけだ」
「でも言わないよりかはいいと思いますけど」
アルミンの言いたいことは分かる。だが、アレは一筋縄ではいかない。何を言っても反抗して噛み付いてくる。あれくらいの返答でいいのだ。それに本人もちゃんと分かっている。だから大人しく三人に連れていかれた。本気で気に食わないと思っていたならば、コニーたちを薙ぎ倒していただろう。
「来たか」
「二人ですね」
「ああ。ミカサ、アルミンを囮にしてアイツらを捕まえるぞ」
「はい」
アルミンに水汲みをさせ、自分とミカサはその近くの木へと登る。
憲兵が足元に来るまでの間、リヴァイはチラシの内容を思い返していた。
調査兵団員は全員捕らえられ、エルヴィンも裁判に掛けられている。こんな低度なやり方にエルヴィンが屈するとは思えないが、早く手を打たないと本当に調査兵団は潰されるだろう。
──調査兵団は生贄でしかないって。民衆の希望を打ち砕くための。
不要となったから捨てられる。その時期が今だった。本当の王家の存在を知ってしまったから消されようとしているのだ。
調査兵団が無くなったらどうすればいい。エルヴィンが処刑されたら。きっと次は自分やハンジが見せしめとして処刑台に立たされるだろう。
そうなったら。
「(あいつは黙ってないだろうな)」
近づいてきた人間に対して迎撃という言葉が出てくる当たり、もうカイの中で自分たち以外の人間は敵として認識してしまっている。
こんな状況だから仕方ないとはいえ、少し過激さが増している。なのに仲間内では気が緩みすぎてきていた。
本人は気をつけているというが、もうあれは気をつけているなんて言えたもんじゃない。むしろわざとやっているのかと聞きたくなるくらいだ。
別に自分だけのものではない。ハンジやエルヴィンにも敬語を使っていた。だから独占できるものでは無い……が。
「クソ……」
「兵長?」
「なんでもない」
今はこちらに来ている奴らに集中しなくては。カイの事となるとすぐに考え込む癖を直しておこう。
「調査兵団だな?」
男女の二人組がアルミンへと近づく。隣の木にいるミカサとアイコンタクトを取ってからリヴァイは彼らを取り押さえるべく飛び降りた。
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