第二十七幕
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「くそ……もっと時間が掛かると思ったんだがな」
近づいてくる煙弾にライナーは舌打ちを漏らす。ベルトルトと頷きあったかと思えば、ライナーはカイの方へと向き直る。
「あんたはエレンをここまで連れてくるための人質にすぎない。だから用が済んだら置いていこうと思ったが……気が変わった」
グイッと肩に担がれて視界がぐるんっと回る。
「おい……ライナー!!カイには手を出すなって言っただろうが!!」
エレンが必死にライナーを止めようと叫んでいるが、ライナーは聞く耳持たず、カイを担いでその場を離れた。
『エレンを連れていくのは巨人化の能力があるからか?』
「それに答える必要は無い」
『はあ……。じゃあ、一つだけお願いがあるんだけど』
森の奥へと連れていかれ、適当な場所で下ろされる。
「なんですか」
『エレンを死なせることのないようにな』
「命乞いをしないのか」
『したところでだろ。知りすぎた者が粛清として殺されるのはこの世の摂理だ。それは理解してる』
彼らから知り得たものは多くは無い。壁外に人類がいるということよりももっと重要な事があるのは分かる。ベルトルトとライナーはその使命を果たすためにわざわざ外から壁の中へと入ってきたのだろう。
もしここで自分が死んだらこの事実を誰かに伝える術が無くなる。でも、エレンが生き残って居てくれたら。
『俺のことはどうでもいいよ。でも、エレンだけはどうか生かしてやって欲しい。可愛い弟分が殺されたとなったら成仏なんて出来ないだろ?』
「……分かった」
『ん、ありがとな』
下にわらわらと集まりだす巨人たち。大口を開けて今か今かと待ち構えていた。
『(どうでもいいとは言ったけど……流石に……食われるのは怖いな)』
巨人がどうやって人を食うかを知っている。単体であれば一噛みされるか、丸呑みされるかだが、複数体居るとなれば苦痛も底知れない。
『……これって死に方選べたりすんのか?』
出来れば持っている剣で一思いにやって欲しい。自分に対して恨みがあるというのであれば、仕方ないと諦めるけど、彼らとは数えられるくらいしか会話をした事がない。
恨みを持たれる理由なんてないはず、と思いたいところ。
「カイさん。それはあんたが決めてくれ」
『は?』
「ここで餓死するか、それとも下に落ちて巨人たちの餌になるか」
そう言ってライナーはエレンたちの元へと戻って行った。
『選べって……お前それ……』
与えられた選択肢は二つじゃない。
『直接殺さなかったことを後悔するぞ』
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