第二十五幕
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「お待たせ、案外準備に手間取っちゃってさー」
そう言いながらハンジたちは荷車に腰を下ろした。
「出発して大丈夫かい?」
「あ、はい……僕たちは大丈夫です」
「そう?準備が早くて助かるよ」
「お前が遅いだけだろう」
声の位置からしてハンジが座っているところはカイの所から遠く、リヴァイは近い……というか多分目の前に座ったのだろう。
『(なんで前に座るかなぁ……)』
意気消沈してしまっているエレンとは間にミカサを入れることで距離を空けた。前の席が空いていたからリヴァイたちが乗ってくるのは想定していたけれど、まさか自分の前にリヴァイが座るとは。先程の会話を気にしているのは自分だけなのか。
『(リヴァイからしたら振られたようなもんだろ。振った相手の前に座れるか?普通)』
今、リヴァイがどういう表情をしているかは見えない。何も見ないようにマントのフードで視界を覆っているから。
「うん?なんだか君たち覇気がないね。どうしたんだい?」
ハンジの疑問に誰も何も言わない。
「昼間に女型と戦ったから疲れてるのかな?カイなんか寝てるみたいだし」
ごめん、起きてる。ガッツリ起きてるけど、顔を上げづらいから寝てるフリをしている。
「なんでこいつがここにいるんだ」
「あれ?リヴァイ聞いてないの?エルヴィンがカイにも出るように指示したんだよ」
「なんだと?」
今凄く前から睨まれている気がする。
「人手が足りないからね。カイも了承したみたいだし」
「お前らは揃いも揃って脳ミソが詰まってないのか?こいつが怪我人だというのを忘れてんじゃねぇ」
「分かってるよ。でも緊急事態だというのも変わらない。だから彼らにカイの援護をするように指示したんだよ」
エレン、ミカサ、アルミン。この三人はカイの援護要員となっている。エルヴィンに言い渡された時は必要ないと突っぱねたのだが、何かあった時の為にと無理矢理三人をつけられてしまった。
壁外遠征で生き残った新兵とはいえ、まだまだひよっこ。三人のお守りも兼ねて、と言いくるめられてしまったのだ。
「あのクソ野郎……」
「そんなに心配なら早く足を治すことだよリヴァイ」
もう心配なんてしなくてもいいのに。するだけ無駄なのだから。
「カイ、腰辛くないの?」
横にいるミカサがボソリと呟く。
『大丈夫』
「本当に?」
『そんな気にしなくても……ああ、ちょっと寝るから肩借りてもいいか?』
「うん。大丈夫」
『悪い』
ぽすっとミカサの左肩に頭を預ける。
「え?なに?ちょっと二人ともどうしたの?エレンもリヴァイもなんでそんな怖い顔してんの?」
「なんでもありません」
「気にするな」
「気にするでしょ……。ほら見てよ、ニックが怯えて震えてるじゃないか」
司祭が怯えるほどの顔ってどんな顔だよ。ちょっと見てみたい気もするけど、そのまま寝ることにした。
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