葬式(4)
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~Levi~
「あれからカイの様子はどうだ?」
「部屋から出てきやしねぇ。部下に飯を持っていかせたが食ってないらしい」
「そうか……。彼はクラウス班長を慕っていたからな」
カイを自分の班に入れてから一週間が経った。その間、エルヴィンと共に忙しく動き回っていたせいでカイに構っている余裕はなかった。
代わりに部下に頼んでカイの面倒を見てもらっているのだが彼らもお手上げの状態らしく、昨日兵舎に戻ったリヴァイに泣きついてきた。
──もう何日も部屋から出てこないんです。リヴァイ兵長からも声をかけてみてください。
どうやらあの手この手とカイのことを元気づけようとしてくれたみたいで、部下たちの顔には疲弊の色が滲んでいた。
落ち着くまで放っておけと言えるのもそろそろ限界だ。
「シグルドはどこにいる」
「彼にはハンジと共に壁の修復が可能なのかを考えてもらっている」
「あいつを連れてこい。シグルドが顔を出せばカイも出てくるだろうよ」
そこまで単純な話ではないだろうが、少なくとも他人が声をかけ続けるよりかは効果があるはず。
「そう思って声をかけたんだが……どうやらカイとシグルドは喧嘩をしているそうだ」
「喧嘩だ?」
「クラウスを探し回っていたカイをシグルドが無理矢理止めたらしい」
その話はハンジから聞いた覚えがある。クラウスと班員が帰ってこないからと日没後もカイはシガンシナ区内を飛び回っていたとか。闇夜の中で人を探すなんて無謀だ。
シグルドが止めるのも無理はない。自分もその場にいたら確実に引き止めている。
「その喧嘩で口を聞いていないと。しかもシグルドは猫をかぶるのをやめたとハンジが困っていた」
「そりゃめんどくせえな」
「今の彼をカイとは会わせられないだろう。とはいえ、このままではカイの体調も不安だ」
「俺が見てくる」
「ああ、任せる。それともしカイと話が出来そうであれば伝えてくれ」
「何をだ」
「クラウス班長のご遺体が見つかった、と」
「……了解だ」
クラウスの遺体は他の兵士に比べてまだ人の形を保っていたらしく、最後まで巨人に抗っていたとエルヴィンは言った。
そんなことをカイに伝えようものならまた泣き出すかもしれない。
「(あいつの泣き顔は……見るに堪えない)」
声を押し殺して我慢するように泣く姿はこちらも胸が痛くなる。まだ声を上げて子供のように泣いてくれた方が安心する。溢れだしてくる感情に蓋をするのにはまだ早い。二十そこそこのヤツがそんなことを覚えなくていいのだ。
部下からの報告で、たまに部屋の前を通ると微かに泣いている声が聞こえてくると言っていたのを思い出す。
もし、今も一人で泣いているのであれば。
「エルヴィン、話は終わりか」
早く帰らなくては。何故かそう思った。
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