葬式(4)
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845年。その日は突然来た。
ウォール・マリアが壊されると思わなかったカイたち調査兵団は朝から壁外調査へと出向いていた。
いつものように多数の犠牲を払いながら何の成果も得られなかった壁外調査。町の人たちから非難の目を向けられ、心身共に傷ついていた時にその伝令は訪れた。
「ウォール・マリアが……!巨人にウォール・マリアが突破されました!!」
『……え?』
負傷者の手当てをしていたカイの耳に飛び込んできた言葉。巨人に壁を突破されたと聞かされてもピンと来なかった。この兵士は一体何を言っているんだろう?と首を傾げていたカイのもとへと班長が転がり込むように走ってきた。
「クラウン!今すぐ準備をしろ!」
『班長?どうしたんですかそんな慌てて』
「巨人が……巨人がシガンシナ区に入ってきやがった!!」
『は……』
「急げ!逃げ遅れた人たちもいるかもしれん!」
班長に腕を引っ張られて外に連れ出される。部屋の中に居たから気づかなかったが、外は外で皆慌ただしく動き回っていた。
「カイ!」
『シグルド……これは……』
「シガンシナ区に巨人が入ってきたって聞いた!駐屯兵が食い止めているらしいが、それもいつまでもつか……」
シガンシナ区。そこはカイの出身地だ。そこに巨人が入ってきている。
『は、早く……行かないと……』
駐屯兵では巨人には敵わない。彼らは巨人が壁を突破することは無いとたかをくくって普段から酒を飲んでいるのだから。そんな人たちが巨人に対抗できるとは思えなかった。
「シガンシナ区ってカイの家があるところだよな……お前、親は──」
『分かってる!!』
シグルドの言葉を遮るように叫ぶ。
ダメだ。ここで焦ったら。冷静になって物事を考えなくては。
『動ける兵士はどれくらいいるんだ?』
「そんなに多くはない。先にリヴァイ班とハンジさんの班が向かった」
『リヴァイさんとハンジさんが?』
「ああ。あの二人は本部の外にいたから異変にいち早く気づいたんだろ」
あの二人が向かっているなら何とかなるはずだ。
逃げ遅れた町の人たちを誘導しつつ、前線へ向かってリヴァイたちと合流する。壁が壊されていたというから、その補修が可能なのかも確認してこなくては。
『シグルド、行こう!』
立体機動を手早く準備し、班長と共に本部を飛び出した。
その後のことはあまり覚えていない。気づいた時には自分とシグルドだけがその場に残っていた。
一緒に動いていた班員も班長も撤退命令が出ても帰ってこなかった。ハンジとシグルドに止められるまで探し回ったのに。
生きている姿どころか、死体さえ見つからなかった。
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