第二十幕
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巨人の咆哮が聞こえ、リヴァイは方向転換をした。声色からしてエレンだと分かる。
それが意味することも。
咆哮のした方へと近づくにつれて見たくない現実を突きつけられる。最初はグンタ。項のところを切られているところからして、彼は女型の本体に剣で殺されたのだろう。
ぶら下がっている死体の横を通り抜けて進むと、次に見えたのはエルドの死体。地面に横たわっている彼には下半身が無かった。食いちぎられたのか、はたまた引き裂かれたのかは定かでは無い。
その上を通り、オルオの死体を見つける。エルド程の酷さはないが、彼も凄惨な末路を辿っていた。
そしてその先に居たのはペトラだった。上半身が木に沿っている。状態からして女型に踏みつけられたのだろう。
彼らの死を忘れぬように目に焼きつける。
「あいつは……」
ここまで四人の死体しか無かった。エレンは巨人化してどこかで女型と戦っている。
ならばカイはどこに行ったんだ。エレンと共に行動しているのであれば、巨人化するのを止めているはず。カイの言葉を無視出来ないエレンが巨人化しているということは"側に誰も居ない"ということ。
周囲を探し回ったがどこにもカイの姿は無い。
「どこに……行きやがった」
生きているのか、それともエルドたちのように女型に殺されたのか。その判別も付けられない。
徐々に膨れ上がっていく不安。早く見つけださなくてはと焦りでガスの噴出が増える。
「カイ!居るなら返事をしろ!」
暫くその場にとどまってみてもカイが姿を現すことは無かった。
これ以上は探せない。
エレンを回収して撤退しなければ。
「……気をつけろと言ったのはどこのバカだ」
人の心配をしているのなら自分の身を守る努力をしろ。人に死ぬなと言うなら先に死ぬような真似はするな。
「ああ……クソッ……こんな時に」
トリガーを強く握り込む。まさかこんな時に知ってしまうとは思わなかった。
もっと早く気づけていたら結果は変わっていたのか。
強く握りしめたせいでギシリと軋む。それでも溢れ出してくる感情は抑え込めない。
「カイ……俺はお前のことが……」
自覚したくなかった。出来ることならこんな形ではなく、もっと別の場面で。
こんな思いをしたくないから今まで蓋をしてきたのに。特別を作ってしまったら失ったときに苦しむから。だから感情に蓋をしてきた。
──リヴァイ!
脳裏に浮かぶカイの顔が。先程まで手の中にあった温もりが。
今は遠く感じる。
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