第十九幕
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「兵長と合流するぞ!続きは帰ってからやれ」
各々安心しきった顔で飛びながら今日の遠征について話している。そんな中、カイは警戒を怠ることなく周囲を注視していた。
『あれは……?』
班に近づいてくる何者か。マントのフードを被っているため顔を確認することは出来ない。
先頭を飛んでいるグンタがそいつに気づいて声をかける。相手からの返答がないことで不審感が強まった。
「リヴァイ兵長?いや……違う、誰だ!」
一瞬の出来事だった。突然現れたそいつはトリガーにセットしていた剣でグンタの首を切った。
「あっ!グ……グンタさん!ちょっとどうして!」
力なくぶら下がっているグンタに全員が戸惑う。真っ先にグンタの死体へと飛んで行ったエレンは必死に声をかけていた。
「グンタさん!」
『エレン!!その場を離れろ!』
「でもグンタさんが!」
『もう死んでる!早くここから逃げるぞ!』
エレンの首根っこを掴んで引っ張り、グンタの死体に背を向けた。
「どうして……!」
『考える前に逃げろ!グンタを殺したやつが近くにいる!煙弾を……こちらが出した合図を目印に俺たちをつけてきたんだ!』
やはり煙弾は撃つべきではなかった。今更後悔したって遅い。今はこの状況をどうするかだ。
『エルド!この班の最優先事項はエレンの身の安全だ。……分かってるよな!?』
「ああ……分かってるさ!相手が巨人であれ人間であれ、エレンを狙っているのであれば……殺す!」
「ちくしょう!どうする!エルド、どこに向かえばいい!?」
「馬に乗る暇は無い!全速力で本部に向かえ!」
どうする。どうすれば守り切れる?
もっと早く気づいていればグンタを守れた。
『くそっ……!』
これでは失ってしまう。リヴァイの部下を仲間を。彼らを守れるのは自分しかいないのに。
トリガーを持つ手に力がこもる。なんとしてでもこの場を切り抜けなければ。
後ろでバチッという音が聞こえ振り返る。エレンが巨人化する時と同じ光景が目の前に広がった。
「やはりか!来るぞ!女型の巨人だ!」
「今度こそやります!俺がヤツを!」
「ダメだ!」
手を噛もうとしたエレンをエルドが引き止める。
「俺たち三人で女型の巨人を仕留める!エレンとカイはこのまま全速力で本部を目指せ!」
『待て!お前たちだけであれを相手するつもりか!?』
「ああ、そうだ!カイはエレンが無事に本部に行けるように援護してやれ!」
『ふざけるな!あの巨人が普通では無いことは知ってるだろ!!』
「分かってるさ!だからお前に託すんだ!!」
「カイ、私たちを先輩だと敬うのなら先輩の命令を聞きなさい!!」
「そうだ!!お前まさか俺たちが弱いって言いたいのか!?」
『そういうことじゃない!!お前らじゃ……』
無理だと。ハッキリ言えていたら良かった。彼らのプライドを傷つけようが何をしようが、止めればよかった。
例え恨まれても。エルドたちを引き留めていたら。
きっとこんな結果にはならなかった。
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