第十九幕
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「オルオ、ペトラ、お前ら二人とも初陣でションベン漏らして泣いてたくせに立派になったもんだな」
「ぎゃー!!」
「えっ?」
『あ、漏らしたんだ』
エルドの突然の暴露にペトラは恐ろしい形相で叫び、エレンは目を丸くしてペトラを見上げる。
「言うなよ!威厳とかなくなったらどうするんだよエルド!」
「うわ!ほんとなんだ」
「事実だろ。ちなみに俺は漏らしてないからなエレン」
「バカめ!俺のが討伐数とかの実績は上なんだが?上なんだが??バーカ!!」
「討伐数だけでは兵士の優劣は語れない」
「うるせぇ、バーカ!」
『(これはこれは……)』
壁の中に帰るまでが壁外遠征だと言っていたやつらの会話では無い。エレンに気を抜くな、と言ってあるものの、これでは気の張りようがない。
「ペトラさん、空中で撒き散らしたってことですか?」
『エレン、女性にそういうことを聞くんじゃない』
「で、でも……飛んでる時に漏らしたらそうなるだろ?」
「エレン!黙りなさい!それ以上言ったらあなた、ご飯抜きにするわよ!?」
「ひでぇ!」
「いい加減にしろ!お前らピクニックに来てんのか?壁外なんだぞここは!ちなみに俺も漏らしてねぇからなエレン」
やっとまともな人が声を上げてくれたと安心したが、その後のセリフで全てダメになった。
「その……カイは……」
『この流れで俺に来るのかよ……』
じっとエレンたちに見られてカイは苦笑い。
『下は漏らしてねぇよ』
「下"は"!?下以外にあんのか!?」
『上からは漏らしたけど』
「それって吐いたってことか?」
「なんだお前、巨人に驚いてゲロっちまったってことか?案外大したことねぇんだな」
「ションベン漏らすよりかは遥かにマシだろう」
「ちょっとそれいつまで引きずるつもりなの!?」
自分から意識が逸れてくれて良かった。あの時の状況は今でも鮮明に覚えているので吐き気を催してしまう。
「カイ、大丈夫か?」
『うん?おう、大丈夫』
「悪い。聞かなきゃ良かった」
『そんな大したことじゃないから気にしなくていいよ』
申し訳なさそうに顔を伏せるエレンに問題ないと笑いかける。
「あれは……」
緑の煙弾が空に上がり、グンタはそれをリヴァイからの連絡だと察した。返事をするようにグンタも煙弾を打ち返し、リヴァイと合流しようとそちらへと進路を変える。
「大丈夫か?」
『多分?』
エレンに問われてカイは曖昧な返事をした。なんだか嫌な予感がする。
仲間を呼ぶためとはいえ煙弾を撃つだろうか。リヴァイともあれば、合図がなくてもこちらを探し出せそうなものを。
『(立体機動の練習をしてたとき、あいつは俺の位置をすぐに特定してたよな。あのだだっ広い森の中で人間一人探すのは困難だ。それでも見つけだした。そんなやつが班を探すのに……)』
合図を求めるだろうか。
.