第十九幕
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「カイは知ってたのかよ。あの巨人を捕まえることを」
『あー……うーん。なんかそんなような話は聞いたけど忘れてた』
馬を降りて立体機動へと移ろうとしていたとき、エレンが不服そうにカイの所へと来た。
「知ってたなら教えてくれても良かっただろ」
『そんなことしたら作戦が破綻する。あのクソハゲ野郎は特定の兵士にしか今回の作戦の概要を話してない。それがどういう意味か分かるか?』
「仲間を……疑ってるのか」
カイの言葉にエレンは顔を歪める。拳を固く握って。
『エレン、人を信用するってのは簡単には出来ない。何も考えずに信用してたらいつか足をすくわれる』
作戦が上手くいったということは、エルヴィンの判断は間違っていなかった。となると、ウォール・マリアが落ちたときに壁の中へと裏切り者が侵入してきたことになる。
まさか自分も作戦の中に入れられると思っていなかった。ウォール・マリア陥落前から調査兵団に入っていたが、そのあと憲兵へと移されている。エルヴィンは自分が内通者と繋がった可能性を見出さなかったのか。
エレンとの関係を疑ったりしなかったのだろうか。
「カイ?」
『うん?あ、悪い……なに?』
「エルドさんが馬を繋いだら上に来いって」
ぼうっと考えている間にエルドたちは先に上に行ってしまったらしい。下に残っているのはカイとエレンだけ。
『アデライン、手綱はこのままにしておくから』
「繋がなくていいのか?」
『勝手にいなくなるようなことはしないから大丈夫。何かあったとき逃げられるようにしておかないとな』
巨人がここまで来るとは考えにくいが念のため。緊急時には馬の面倒は見ていられない。かといってここに置き去りにするのも良心が痛む。だからいつもアデラインの手綱は繋げていない。
『いいか?他の馬と喧嘩するなよ?』
ちらりと他の馬を見る。アデラインを怖がってなのか、エルドたちの馬は身を寄せあってこちらを見ていた。
その中で唯一、リヴァイの馬だけがそばに居る。
『仲良くなったのか?』
「馬の方も仲良いのかよ……」
『どうした?』
「なんでもない。なんかちょっとムカついただけ」
馬を見てムカつくとはどういうことなんだ。リヴァイの馬とアデラインを交互に見てムッと嫌そうな顔をしているエレンに首を傾げる。
「カイ、エレン!早く上がってきなさい!」
『はーい』
「はい!」
ペトラに呼ばれてエレンと共に上へと飛び上がる。オルオに遅いと注意され、二人でぺこりと頭を下げた。
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