第十八幕
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「少し進んだところで馬を繋いだら立体機動に移れ。俺とは一旦別行動だ。班の指揮はエルドに任せる。適切な距離であの巨人からエレンを隠せ。馬は任せたぞ。カイ、お前はガスの交換をしておけ」
『了解』
トリガーを手にして巨人の所へ行こうとしているリヴァイのマントを摘んでクイッと引っ張る。
「なんだ」
『あー、いやその』
「言いたいことがあるならさっさと言え」
『捕らえてるとはいえ相手は中身があるからな。考える頭がある。だから……気をつけろよ?』
巨人から人間を引きずり出すのはリヴァイの仕事になるだろう。一番危険なことをするのだ。だから一言伝えておこうと思っていた。
「……ああ、気をつけておこう」
『おう。それだけだから』
「お前も……お前たちも気をつけろ。森の中とはいえ他の巨人どもがいるかもしれないからな」
腰に回っている手に力が入り、グッとリヴァイの方に引き寄せられる。
『わかった。絶対とは言いきれないけど……守れるように頑張る』
もう仲間を失わせたくない。
「無理はするな」
それだけ残してリヴァイは巨人の方へと飛びだって行った。
『とりあえず今は言われたことを先にやるかな』
リヴァイの馬にちゃんと跨り手綱を持つ。人が減ったことにより馬は走る速さが上がった。
『ごめんな。大変だっただろ。もう少し頑張ってな。そしたら休憩出来るから』
ポンポンと撫でてやると、リヴァイの馬はフンッ!と鼻を鳴らす。疲れているはずなのに不機嫌そうにしない。しっかりと躾られている証拠だ。
それとも横から向けられている視線に怯えているのか。
『アデライン、そんなに睨むな。可哀想だろ』
エレンのところからカイのとこへと来たアデラインはリヴァイの馬をこれでもかと睨みつけている。そんなに自分が他の馬に乗るのが嫌なのか。
『こら。睨むなっての』
「カイ!!」
『な、なに?』
アデラインを宥めていると、ペトラに叫ぶように呼ばれて身を震わす。その表情は怒っているように見えた。
「さっきのあれは一体なんなの!?」
『さっきってなんだ?!どれだ!?』
「お前、あの巨人の周りを飛んでただろうが!なんだあの飛び方は!」
『こっちもかよ!』
左側からペトラ、右側からはオルオに責め立てられ、カイは戸惑いの音を上げる。そんな中で後ろにいるエレンがため息をついた。
「カイ、まさかまだ言ってないのかよ」
『なにを!?』
「"元調査兵団"だったってこと」
『え?』
「「「「え?」」」」
『あ、言うの忘れてた』
「は、はあああああ!?」
静かな森の中でペトラの声が響き、鳥たちがバサバサと飛んでいくのが見えた。
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