第十八幕
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「カイ、戻れ!!」
リヴァイの呼び声が聞こえ、巨人に背を向けて班の方へと戻る。
『こんなもんでいいのか?』
「ああ、上出来だ」
『ダメだと言われても納得してもらうけどな』
リヴァイの横を飛びながら巨人を見やる。本当に表情が見えないのが残念だ。
『リヴァイ、もし聞く機会があったら聞いといて』
「何をだ」
『"さっきはどんな気分だった?"って』
目の前を飛び回る人間は巨人からしたら小バエのようにしか見えなかっただろう。最後まで捕まえられなかった悔しさは半端ないはず。なんせ今、相当怒っているだろうから。
「聞けたらな。立体機動から馬に戻れ。お前はこのまま班についていけ」
『おーう……馬に戻りたいっちゃ戻りたいけど……多分今はやめたほうがいいな』
「なんだと?」
『すぐそこで構えてる。ここで減速したら巻き添えを食らうからこのまま突っ切る』
自分の身もそうだが、アデラインがカイを乗せようとして速度を落としたら巨人に踏み潰されてしまう。巨人に踏まれなくても、捕獲装置の巻き添えとなりしぬ恐れもある。それなら立体機動で通り抜けた方が安全だ。
問題なのはそれまでガスがもつか。
『まあ、間に合わなかったら間に合わなかったで。その時、考える』
「カイ、剣をしまえ」
『え?なんで?』
「早くしろ」
言われた通りに刃をしまい、トリガーだけを手に持つ。
『リヴァイ?』
どうする気だ?と問う前にリヴァイの手がカイの首元へと伸びる。襟をガシッと掴まれたと思ったら、リヴァイの方へと引き寄せられた。
『うおっ!おま、先に言えよ!』
リヴァイの馬に横向きで乗せられる。落ちないようにリヴァイの腰に腕を回すと、自分の腰にも手が回った。
「大人しくしてろ。通り抜けたら自分の馬に戻れ」
『はいはい。ったく、別に立体機動でも大丈夫だろうに』
「ガスの量を考えろ。予定が狂うような行動はするな」
確実にあの巨人を捕獲したい。そのために懸念材料は排除しておく。カイが通り抜けられるか微妙だというならこうするしか他ない。
それはわかる。わかるが……。
『俺にも羞恥心ってのはあるんだけど』
「お前にそんな物があったのか。恥ずかしげもなく情けない姿をいつも晒してるやつが」
『誰が情けないって?』
反論しながらリヴァイの腰を叩く。
「いつも泣きべそかいてただろうが」
『そ、れは……たまにじゃねぇか!いつもじゃない!』
「そんな変わらねぇよ」
『変わるだろ!会う度に泣いてるみたいな言い方すんのやめろよ!』
後ろからボソリと"泣きべそ……"と誰かが言ったのが聞こえ、ぶわっと顔が赤くなる。
『違うから!そんな泣いてねぇから!!』
後方へ向けて叫んだのと同時に突如としてエルヴィンの声が辺りに響き渡る。その後、リヴァイ班を追いかけていた巨人は生け捕りにされ、カイたちは無事逃げ切った。
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