第十七幕
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「黒の煙弾?!」
「すぐ後ろからだ!」
「右から来ていたというなにかだな」
「お前ら剣を抜け。それが姿を現すとしたら一瞬だ」
皆に緊張が走る中、一人の兵士が木々の中から飛び出てくる。その姿を捉えたと思ったら、すぐに視界から消えてしまった。
「うっ……!」
「走れ!」
「えっ?」
班の方へと走ってくる巨人。明らかに意志を持って追いかけてきていた。
「うわっ!」
「くうっ……速い!この森の中じゃ事前に回避しようがない!」
「追いつかれるぞ!」
「兵長、立体機動に移りましょう!兵長!」
馬で逃げるには限度がある。このままでは巨人に追いつかれてしまう。
『(さてどうするか)』
最後尾を走っているカイからしてみれば、真後ろに巨人がいるのだ。このままでは踏み潰されてしまう。
『(こうなるってのは分かってはいたが、流石に……人を当てにしすぎじゃないか?)』
じとりとリヴァイを見る。相手もカイの視線に気づいたのか、ちらりと後ろを見た。
「あっ!」
「背後より増援!」
仲間の兵士が巨人を倒そうと項を狙うが、ことごとく失敗に終わる。中に人間がいるのであれば、こちらの意図は見抜かれてしまう。その人間が兵士であればなおのこと。
『(項を庇ってるってことはそういうことだよなぁ。あれは手こずりそうだ)』
「あ……兵長、指示を!」
仲間が散っていくのを見ていたペトラが半狂乱で兵長に指示を求める。その声を皮切りに他の者たちも立体機動に移るべきだと口々に言い出した。
「やりましょう!あいつは危険です!俺たちがやるべきです!!」
「ずたぼろにしてやる!!」
「兵長!」
「指示をください!」
「このままじゃ追いつかれます!」
「ヤツをここで仕留める!そのためにこの森に入った!そうなんでしょう?兵長!」
「兵長、指示を!」
何度も指示をくれと言われるが、リヴァイは無視し続ける。そして漸く口を開いたかと思えば徐に腕を上げた。
「全員、耳を塞げ」
『エレン!』
「えっ」
リヴァイが掲げた信煙弾から広がる音。それは班全員を一気に黙らせるのに効果的だった。
「音響弾……?」
「お前らの仕事はなんだ。その時々の感情に身を任せるだけか?そうじゃなかったはずだ。この班の使命はそこのクソガキに傷一つつけないよう尽くすことだ。命の限り。俺たちをこのまま馬で駆ける。いいな?」
「了解です!」
「駆けるって……一体どこまで!?それにヤツがもうすぐそこまで……はっ、増援です!早く援護しなければまたやられます!」
早く助けるべきだと叫ぶエレンにリヴァイは何も言わない。その代わりに周りの班員がエレンを落ち着かせようと声をかけ続けた。
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