第十七幕
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
壁外に出てから暫くしたのち、緑の煙弾が多数撃たれた。
「煙弾……緑だ。オルオ、お前が撃て」
「了解です」
オルオが煙弾を撃つのを横目に右翼側の方を見る。
『(あれだけ陣形を動かしてるってことは向こう側に多数の巨人がいるってことか)』
前衛の者たちが巨人と遭遇するに合わせてエルヴィンが進行方向をずらす。中央を走っていた陣形は徐々に左側へと逸れてきている。それは右側の方で何かあったということ。
「口頭伝達です!右翼索敵壊滅的打撃!索敵一部機能せず!以上の伝達を左に回してください!」
「聞いたかペトラ。行け」
「はい!」
ペトラが左翼側に行った直後、右方向から撃ち上げられた黒の煙弾。それは奇行種と遭遇したという報せ。
「黒の煙弾!奇行種が!」
「エレン、お前が撃て」
「あっ、はい!」
『これちょっとまずいんじゃないか?』
「カイ、お前は周囲の警戒をしろ。ここまでは入って来ねぇとは思うが……」
『了解。ああ、そうだ聞き忘れてた。いざって時は飛んでいいんだよな?』
「その判断はお前に任せる」
『これまた曖昧な返答で。なるべく飛ばないようにするけど……』
「言ったはずだ。判断はお前に任せると」
『あー……はい。かしこまりー』
要はカイの好きにすればいいということだ。飛ぼうが、飛ばなかろうがどちらでもいい。そう判断したのであれば、それが正しいのだと。
『(これは信用されてるということでいいのやら)』
言葉数が足りてないからどう受け取っていいものか悩んでしまう。カイの判断を信じているから好きにしていいとも取れるし、そうしたいなら勝手にしろという突き放しにも聞こえる。
班に居る以上は上官の命令は絶対だ。カイの勝手な判断で班全体が危険に陥る可能性もある。
以前、そうしてしまったように。
「カイ」
『なに』
「お前を後方に置いた意味を考えろ」
『挽回しろって?随分な博打を打ったな』
仲間を守れとでも言いたいのだろうか。前回の壁外調査で班の者を全滅させたやつに。
『最大限の努力はする。絶対、とは言いきれない』
「それでいい」
なんだか父親に見守られているように感じる。前回の失敗を恐れて踏み出せない息子を案じている父親みたいな。
『こんな親父嫌だけども』
「何か言ったか」
『いんやなんでもない。それよりこのまま進むのか?』
目の前にあるのは巨大樹の森。前方からの伝達で、中列の荷馬車護衛班のみが森に侵入する。
「そうだ」
ここからが今回の壁外遠征の本番。
『(他の巨人化能力を持った人間の炙り出しだなんて……無茶なことを考えるな、あのクソハゲ団長は)』
.