第十五幕
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「カイ」
『こっちは何ともない。だからそっちをなんとかしろよ』
突然エレンが巨人化した。とはいっても中途半端な状態だ。何故か右手だけが大きくなり、そしてカイを包むように手が緩く握られている。
がっしりと包まれているわけではないから痛みなんてない。だが、周りから見たらそうは思えないだろう。
巨人化したエレンにカイが握りこまれている。そう見えているはずだ。
「落ち着けと言ってるんだ、お前ら」
刃をトリガーにセットしたペトラたちがエレンを睨みつけている。リヴァイが彼女らを抑えようとするも、誰も警戒を解くことをしない。
遠くからハンジの喜ぶ声とモブリットの窘める声が聞こえてくる。この状況でハンジに来られたら益々酷くなってしまう。
『あー、ほら。俺はなんともないから。だから剣を下ろせって』
「出来ません!カイも早くそこから出てきてください!」
『大丈夫だって。少し熱いだけだから』
いつの間にかペトラたちはエレンを囲うように立っていた。どこからでもエレンを斬れるように。
「エレン、どういうことだ?!」
「は……はい?」
「なぜ今許可もなくやった?答えろ!」
「エルド待て」
「答えろよエレン!どういうつもりだ!」
「いいや、そりゃああとだ。俺たちに……人類に敵意がないことを証明してくれ。証明してくれ早く!お前にはその責任がある」
『俺がその証明だろうが。潰されてないんだから』
エレンのでかくなった右腕に寄りかかりながらエルドたちの言い放つ。それでも彼らは口々に文句を飛ばしてきた。
「その腕をピクリとでも動かしてみろ。その瞬間てめえの首が飛ぶ!」
『リヴァイ、俺があいつの首飛ばしていいか』
「やめろ。こいつらは冷静さを失ってるだけだ」
『だからって酷すぎねぇ?なあ、こいつらを選んだのってお前なの?』
リヴァイ班というからにはそれなりに肝の据わった人物たちだと思っていたのに。これではそこらの兵士と変わらない。
四方八方から叫ばれ続けられ、エレンは何も言えず黙り込むことしか出来なくなってしまった。
『上官ならちゃんと部下の統率くらい取れよ』
これ以上エレンに負荷をかけるというのなら自分が処理する。その意味合いを兼ねてリヴァイに告げた。
「お前は動くな。そこでじっとしていろ」
『なら早くこいつら静かにさせろよじゃないと……』
右手からエレンの困惑が伝わってきている。少しずつだがカイのことを握ってきているのだ。潰されるほどの力ではないにしろ、このままでは圧迫されて立体機動が破損する。そうなればペトラたちはカイを握りつぶしたといってエレンを斬ってしまう。
『リヴァイ』
ペトラたちに向けられていた目がこちらを振り向く。
『エレンを人類の敵とみなされたくない』
「……わかってる」
だから頼む。そう言ったあと、後ろでエレンが吠えた。
「ちょっと黙っててくださいよ!」
エレンの一声に緊張が走る。固まるリヴァイ班にカイもどうしたものかと考えていると、横からハンジの狂った声が飛んできた。
『あーあ。どうすんだよ。一番厄介なのが来ちゃったじゃん』
これにはリヴァイもどうしようもないらしく、うんざりとした顔でハンジを見ていた。
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