第二幕
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『さて、まずは君の仲間を探すとするか』
「あ、あの、僕は大丈夫ですので……!」
『うん?いいからいいから。ここまで疲れただろ?休んでろよ』
「でも!」
『気にすんな』
屈託なく笑う青年にアルミンは申し訳なさでいっぱいになる。あの場所から連れ出してもらったのは良かったものの、アルミンは今青年の小脇に抱えられている状態。
彼はアルミンを抱えて飛んでいるのだ。何度も降ろしてくれと声を掛けたが、カイは気にしなくていいと言って聞いてくれなかった。
でも、内心では助かった。こんな精神状態で飛べと言われても力が入らない。またアンカーを刺し間違えて地面に落ちるだろう。これ以上情けない姿は晒したくない。
『君たち……あー、名前聞いてもいいか?』
「ア、アルミン……アルミン・アルレルトです」
『アルミンな。俺はカイ・クラウン』
「カイ、さん」
『住民の避難は君たちが奮闘してくれたおかげで完了してる。撤退の鐘が鳴ってたことに気づいてたか?』
「い、いえ……」
『それどころじゃなかったか。そりゃそうだよな。初陣がこんなじゃ』
「カイさんはどうしてここに?」
『んー、それは答えづらいな。強いて言うなら……組織のあり方に疑念を持ったから?』
駐屯兵団が助けに来たのであればわかる。彼らは後衛として戦っていたから。中衛を担っている訓練兵の様子を見に来るだろう。
だが、待てど暮らせど駐屯兵団は来なかった。助けが来るなんて甘い考えを抱いていた自分を殴りつけたい気分だ。
それなのに彼は立体機動装置をつけてアルミンの所へと来た。憲兵団である彼がだ。
「憲兵団は絶対に助けに来てくれないと思ってました」
『その通りだよ。あいつらは絶対にこちら側には来ない』
「カイさんはそんな憲兵団に嫌気が差したんですか?」
『察しが良くて助かる。嫌気なんてもんじゃないな。虫唾が走る』
そう言ってカイは眉間に皺を深く刻む。
憲兵団に対してあまり良いイメージを持っていなかった。それは目につく兵士たちが皆、傲慢で怠惰なせいだ。駐屯兵団や調査兵団が頑張っている中、彼らは安全な内地で悠々自適に暮らしている。
嫉妬心から嫌な思いを抱いてるわけじゃない。陰で支えてくれている人たちを彼らはバカにして嘲笑っている気がしたのだ。だからあまり良い気はしなかった。
でも、そんな中現れたカイの存在。憲兵団なのに巨人がうろつく真っ只中に飛んできた。
「カイさん」
『うん?どうした?』
「助けていただき、ありがとうございます」
『どういたしまして』
少しだけ、少しだけだが前を向こうと思えた。
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