第十四幕
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『どうする?十秒待った方がいいか?』
「必要ない」
『そ。じゃあ、三秒後に出るから』
こくりと頷いたリヴァイは近くの木にアンカーを刺して飛び去る。
そこから三秒数えたのち、カイも木に向けてアンカーを飛ばす。
『たった三秒でもう見えなくなってんだもんなぁ』
ペトラやオルオであれば、すぐに見つけられただろう。だが、リヴァイとなればそうはいかない。
あの小柄さ故に見つけづらく、動きが俊敏だから見つけたと思ってもすぐに消えてしまう。鬼ごっこというよりもはや隠れんぼだ。相手を捕まえるには悟られる前に見つけて近づかなくては。
『とはいえ、あいつの感知能力高いんだよな……』
全身に目がついているのかというほどリヴァイは気づくのが早い。もう少しで捕まえられる、というところでいつも逃げられてしまうのだ。その度に気配を消せと言われるが、そんなことできるわけも無い。
『簡単に言ってくれるよなぁ。流石人類最強。巨人相手にするより神経使うっての』
リヴァイが人間で本当に良かった。巨人だったら確実に人類は滅亡しているだろう。
開始地点から随分と離れた。この森がどれだけの広さなのかは把握していないが、だいぶ奥の方まで入ってきているはず。
ここまで注意深く周りを見てきたがリヴァイの姿はどこにも無かった。今日はマントを羽織っていないから葉っぱに擬態するのもできない。
『見落としたか、それとも上手く隠れてるか』
そうなったら普通に飛んでいても見つけられない。もっと視野を広くもたなくては。
『仕方ない……飛ぶか』
この高さからでは探しきれない。ならば、飛ぶ高さを上げて隅々まで見る必要がある。
ただ、問題があるとすれば、アンカーが木に刺しづらくなるということ。上に行けば行くほど枝が細くなってしまう。そうなればカイの体重を支えられなくて枝が折れてしまうだろう。
いきなり使うとは思わなかった。もう少し手加減をしてくれると思っていたから。
『まさか先にオルオたちと行ったことを怒ってんのか?』
まさかそんなわけ。楽しみにしていたのはカイの方であって、リヴァイはただ頼まれたから仕方なく付き合わされている。それとも、最初から本気で飛ぶことでカイの勘を早く取り戻させようとしているのか。
『んー……どちらにしても手を抜くつもりは無いってことだよな。うん』
鬼畜な上司だ。やっと今日の朝から固形物を胃に入れることが出来たというのに。これでは朝食のパンが戻ってきてしまう。
『早く見つけて終わらせよう』
アンカーを頭上へと突き刺してガスを噴射する。枝が折れる前に次の場所へとアンカーを飛ばす。
木のてっぺん近くを飛んでいるため、見えている景色がガラリと変わる。これなら木の陰に隠れていようと見つけられそうだ。その代わり、正確な射出を求められるが。
『あー、待てよ?えっと、次あそこ刺して……ガス調節して……うわ、めんどくせぇ!前の自分すげぇな』
三年前は何も気にせずにやっていた。この状態でも巨人を倒して移動していたのだから。
『慣れって怖いわ……早く取り戻さねぇとこれ』
壁外遠征が間近に控えている。こんな状態では皆の足を引っ張ってしまうだろう。
リヴァイを早く見つけたいという気はあるが、今は慣れを取り戻すのに集中した方が良さそうだ。
『探す。探すよ。うん。まあ、ちょっと待っててくれ。少し遊んだら探しに行くから』
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