第十四幕
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「憲兵ではほとんど使ってなかったって聞いたけど……カイ、貴方自分の立体機動はどこに保管されてるの?」
『俺のは憲兵に行ったと同時に捨てられたよ』
「え?ちょっと、それはどういうことなの!?」
『不必要だって言われたんだよな』
トロスト区の兵舎へと行かされたあとすぐにカイの立体機動装置は上官に没収された。
立体機動を装備した状態で街中を警備するなんて言語道断。民衆に恐怖心を植え付けるつもりかと言われ、カイは素直に従った。
その時は確かに武器を持って動き回るのは良くないか、と思っていたけど今思えば、立体機動装置は巨人を倒すための武器であって人を殺すためのものでは無いというのは民衆の誰もが知っていること。
それにもっと早く気づいていれば捨てられることなんてなかっただろう。
「お前、憲兵で何をしてたんだ?」
『上官の目を盗んで街の巡回とか、駐屯兵の頼みを聞いて回ってたりとか』
「そんなお使いみたいなことしてたの?」
『それくらいしかやることなくて。兵舎にこもってても暇だし、他の人たちとはあまり関係が良くなかったから』
あそこに居たら息が詰まる。まともな仕事なんて一つもなく、みんな好き勝手にしていた。毎日浴びるように酒を飲んでいるものもいれば、賭けにハマりこんで身を滅ぼすものもいた。その中に混ざる気なんて起きなかったカイは毎日抜け出していたのだ。
「じゃあ、まずは新しい立体機動装置の癖を覚えるところからね」
今つけている装置はハンジがもらってきてくれたものだ。傷一つない新品の立体機動装置にカイは訓練兵なりたての頃を思い出す。面白いおもちゃ(そんなことを言ったら怒られそうだが)を手に入れた子供のような気分。
「トロスト区が陥落したときは立体機動を使ったんだってな。巨人を倒していたというのも報告にあがっているが、きっとまぐれだ。俺が立体機動の正しい使い方を教えてやる。その身に叩き込むんだな」
『よろしくお願いします、先輩』
「あんたに何が教えられるっていうのよ。カイ、私が教えるからこいつの話は無視してくださいね」
「おい、ペトラ。こいつが頼んだのは俺だ。だから俺が教えるべきだろう」
「あんたが教えられるのは舌を噛む方法だけよ」
やっと立体機動の練習が出来ると思ったのに、ペトラとオルオは口喧嘩をし始めてしまった。
またか、と呆れながらカイは二人の喧嘩が終わるのを今か今かと待った。
『(この二人長いんだよな……)』
リヴァイ班に入ってからというものの、この二人が口喧嘩をするところを何度も見ている。最初のうちは仲裁に入っていたが、今ではもう眺めることに徹した。
落ち着いたとしても数分後にはまた険悪な空気になるからだ。
別に嫌いあっているというふうではない。互いに信頼しているから本音でぶつかっているというのもあるのだろう。仲が良いのはわかった。ただ、人を巻き込むのは止めてくれ。
「カイ、あなたは私とオルオのどっちに教えられたい!?」
「当然俺だよな。討伐数の多い俺から教えられるなんて光栄なことだ」
「討伐数が多いからってなによ。私にだって教えられることはあるわ。機動力に長けているのは私の方なんだから」
『それなら二人同時に教えてもらうってのはどうです?』
もう面倒だ。さっさと終わらせてしまおう。
『俺と鬼ごっこしませんか?』
.