第十四幕
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『今日もいい天気だな。そう思わないか?アデライン』
カイの問いにアデラインと呼ばれた馬は返事をするように鼻を鳴らした。
旧本部近くの森。そこでカイは立体機動の練習をするべく馬に乗ってやってきた。
あとからリヴァイたちも来ると言うので、先に準備運動をしておこうと思ったのだ。
『元気にしてたか?暫く合わない間にまた凛々しくなったみたいだな』
アデラインの頭を優しく撫でると、嬉しそうに擦り寄ってくる。
彼女とは調査兵団に入った頃からの付き合い。
憲兵に行ったときにはリヴァイに預けてしまったから自分のことなどもう忘れてしまっただろうと思っていた。
昨日、リヴァイがアデラインを連れて城に戻ってきたのだ。彼女を見た瞬間、カイはすぐにアデラインだと気づいた。
きっと忘れている。声をかければ思い出すかもしれない。でも、突然居なくなった主を見てアデラインはなんて思うか。どこに行くのも一緒だったのに、カイはアデラインを調査兵団に残して憲兵に行ったのだ。
三年の月日でアデラインがカイに対して恨みを抱いていてもおかしくはない。
だから自ら近寄る事はせずに眺めていた。それがまさかアデラインの方からカイの元へと来るとは思わず。
戸惑うカイの周りをぐるぐると回っていた。恐る恐るその頭へと手を伸ばして触れると、アデラインはカイに頭を擦り寄せてきた。怒ることなどせず、ただ懐かしむように。
『また巨人たちの足元を駆け回るけど大丈夫か?』
アデラインも大切な仲間だ。巨人に踏み潰されて死んでしまうのは見たくない。もし嫌がるようであれば、壁外に連れていくのは止めようと思う。
『アデライン』
カイの言葉を理解しているのかはわからない。でも、何となく嫌がっていなさそうに感じる。むしろ自分を連れていけと言わんばかりに手綱を押し付けてきた。
『お前も物好きだな。普通は嫌がるだろ』
何度も怖い目にあっているというのに、それでも着いてきてくれるのか。大抵の馬は狂ったように暴れて嫌がるのに。
甘えてくるアデラインを撫でていると、馬の足音が聞こえてきた。カイが振り返るよりも先にアデラインが反応して唸りをあげ始めたので、落ち着かせるように背を叩く。
「カイ!」
『あれ、ペトラ?それにオルオも。どうしたんだ?』
「立体機動の練習をするんですよね?それなら私たちが付き合いますよ」
「教えろと言ったのはお前だろう。先輩に声もかけずに何やってんだ」
『あ、あー……忙しそうだったから声かけずに出てきちゃったなぁ』
馬に乗ってやってきた二人はしっかりと立体機動の装備を付けている。半分冗談で言ったようなことなのに、彼女らは本気で教えてくれようとしていた。
『(できた先輩だな。エレンの護衛役がこの人たちでよかった)』
後輩思いの良い先輩。エレンだけを見ててくれればいいのに、カイのことまで世話してくれるとは。
申し訳なく思いつつ、カイはペトラたちの教えを受けることにした。
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