第十三幕
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「うああああああ!!ソニー!ビーン!ウソだと……ウソだと言ってくれ!うわああああ!」
急いで来てみたが、二体の巨人の身体は半分以上が蒸発して消えてしまっていた。
嘆き悲しむハンジを皆が哀れに思いながら、巨人を殺した者に対して恨みつらみを零していた。
『リヴァイ、これどう思うよ』
「さあな。これ以上俺たちにできることはねぇ。あとは憲兵に任せろ」
『憲兵が犯人見つけられると思ってんのか?』
彼らがまともに仕事をするとは思えない。少しくらいは動くだろうが、犯人を見つけるところまではたどりつかないだろう。自分たちには関係ないと言って職務放棄されるのがオチだ。
『人類の敵は巨人だけじゃないってのが目に見える形になったな』
「カイ、でかい声で言うな」
グイッとマントのフードが引っ張られて頭を隠される。
「お前は何も考えなくていい。エレンの護衛に集中していろ」
『それだけじゃ無理だろ。もうこうなった以上、視野を広げないともっと厄介なことに──』
ふとエレンの方を見やると、後ろからエルヴィンに肩を掴まれているのが見えた。殺された巨人の方を見つめたまま何やら話しかけているようだが、当のエレンは戸惑いの色を見せている。
『あのクソハゲ親父ッ』
「おい。それは誰のことを言ってるんだ」
『一人しかいねぇだろうが!』
リヴァイからじとっと睨まれたがお構い無しにカイはエレンの元へと歩みを進める。
「すまない、変なことを聞いたな」
『聞いてるんじゃなくて、してるの間違いだろうが』
「ウッ……」
ガスッとエルヴィンのふくらはぎを思い切り蹴りつける。
『何してんだお前は』
「お、おいカイ!お前こそ何やって……!」
『エレン、こっち来い。これ以上こいつのそばに居るな』
エレンの手を引いて自分の背に隠す。エルヴィンは痛みに呻きながらカイの方へと目を向けた。
「朝から元気……なのはいいが……少しやりすぎではないか?」
『うるせぇ。近寄んな』
「何故ここまでされなければならないのか理由を聞いても?」
『気持ち悪いって言ってんだよ』
「カイ!お前団長に向かって何言ってんだよ!」
『団長だからって何してもいいとは限らないだろうが』
「エルヴィン団長は何もしてねぇよ。ただ、ちょっと」
歯切れの悪いエレンにさーっと血の気が引く。困ったように俯く姿にもう嫌がらせを受けたのだと察して。
『おい……このクソハゲ野郎……』
「私はまだハゲてはいない。その呼び方はやめてくれないか」
『ならクソ変態野郎ならいいのか?あ?』
「だから何故そこまで私はカイに嫌悪されているんだ。理由を……」
『だから気持ち悪いって言ってんだろうが!』
こちらへと一歩近づいてきたエルヴィンの足を再度蹴りつける。先程は横からだったからそんなに威力は無かったが、今度は前から脛の部分を蹴ったため大ダメージとなったようだ。
蹴られた左足を抱えて蹲ったエルヴィンをカイは鼻で笑い、エレンの手を取る。
『帰るぞ。いつまでもあいつの近くにいたらダメだ』
「お、おい!いいのかよ!」
『いいんだよ』
「そんな……リ、リヴァイ兵長!エルヴィン団長が……」
「放っておけ。いつものことだ」
「いつものこと!?」
「気にするだけ無駄だ。さっさと帰るぞ」
このやり取りを知っているリヴァイはため息をつくだけで何も言わない。だが、エレンは何度も心配そうにエルヴィンの方を振り返る。
『エレン、アイツにあまり近づかない方がいい。寄ってきたら逃げろ。いいな?』
「そんなこと出来るかよ。俺はエルヴィン団長に助けられたようなもんなんだぞ」
『エレンの事は俺とリヴァイで守る。エルヴィンの手は借りない』
「なんだよ……なんかミカサみてぇ」
『ミカサは全方位だろ。俺はエルヴィンだから。あいつの脅威は半端ないから』
いいな?と何度もエルヴィンには近づくなと念を押す。渋々といった感じでエレンは頷き、カイは満足気に微笑む。
「兵長、なんであんなにカイはエルヴィン団長の事を嫌ってるんですか」
「あれはエルヴィンが悪い」
「なにしたんですか……」
「全部だ」
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