第十二幕
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ペトラが下へと向かったあと、リヴァイはため息をついた。
『あー……まさか寝ると思わなくて』
本棚を片付けようとしていたところまでは覚えている。そしていくつかの本を読み漁り始めたのも。その後に眠ってしまったのか、部屋が暗くなっていたことには全く気づいていなかった。
ペトラが起こしに来てくれなかったらこのまま朝まで眠っていたかもしれない。
「俺は部屋の掃除をしろと言ったはずだ。床に本を並べろとは言ってねぇ」
『掃除はしてたんだよ。本棚以外は。絶対時間かかると思ってたからそこを最後にしたんだけど……やっぱ無理だったかぁ』
「笑ってんじゃねぇ」
『悪かったって。ちゃんと本は元に戻すから』
ホコリだらけだった本棚は綺麗にしてある。あとは本を元に戻すだけだ。
床に散らばっている本を手に取ってまとめ、それらを本棚へと詰め込む。まだ気になる本もあったけど、ここでまた読み始めたらリヴァイに本気で怒られそうだ。
「あいつらに調査兵団にいた事を言わなかったのか」
『言ってない』
「なんで言わなかった」
『変に期待されるのは面倒だなと。それに憲兵に居た間は立体機動に触れなかったから。この間久しぶりに使ったけど感覚が鈍ってる。ガスの使い方も忘れてたし、刃も二、三回使った程度でダメにしたからさ』
「だから新人のように扱ってくれとあいつらに言ったのか。使い方を忘れたのであれば練習しろ。お前ならすぐに感覚を取り戻せるだろ」
『簡単に言うねぇ。感覚鈍りすぎて巨人に掴まれたんだからな?そんなやつがすぐに前見たく飛べるわけがない』
「掴まれただと?」
『トロスト区の本部。あそこが巨人に占拠されて、訓練兵たちがガスの補給が出来なくて困ってたんだよ。だから仕方なく巨人の注意を引こうと思って飛んだんだけど、途中でガスが切れてさ。倒すのにもちょっと位置が悪くて』
訓練兵を守ることしか頭になくて、考え無しに巨人に向かって叫んだ。そのせいで人生初めて巨人に掴まれたのだ。あの時の絶望感は計り知れない。全てを諦めて死を受け入れてしまうほどに。
「人に死ぬなと言っておきながらてめえは巨人に掴まれてただ?文句をつけられる立場じゃねぇだろう」
『確かに。でも結果的に助かってんだからいいだろ。後から言うなよって話だろうけども』
あそこでエレンが来なかったら確実に死んでいた。
まさか親子共々命の恩人になるとは。イェーガー家には頭が上がらない。
『なあ、リヴァイ。こんな状態だから立体機動の練習を早めに始めたいんだけど……』
「そのつもりだ。壁外遠征に出て使えませんでしたじゃ洒落にならない」
『ということは練習に付き合ってくれるんだよな?』
リヴァイが付き合ってくれるのであれば感覚を早く取り戻すことができる。三十日後に予定されている壁外遠征には余裕で間に合うだろう。
「そう思うのであればとっととその体調を治せ。少し動いたくらいでへばってるようでは満足に動けやしないだろうが」
『全力で治す。うわぁ、リヴァイと飛べるの久しぶりだな。すっげぇ楽しみ』
練習の想像をしたらやる気が一気に膨れ上がる。なんなら今すぐにでも飛びたいくらいだ。
「……カイ」
『ん?どうした?』
「そのツラをエルヴィンの前ではするなよ」
『待て。なんで今ここであいつの名前が出てくるんだ』
「警告はした。あとはてめえの頭で考えろ」
『ちょっと待て!なんだよ警告って!』
もう用はないとリヴァイは部屋を出ていく。謎の発言を残されたカイは本を片付けながらブツブツと呟いていた。
『意味わかんねぇ……なんだよあれ。つか、マジなんでエルヴィンが出てくるんだ?そのツラってなんだよ』
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