第十二幕
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「乗馬中にペラペラ喋ってれば舌も噛むよ」
「最初が肝心だ。あの新兵ビビっていやがったぜ」
「オルオがあんまりマヌケだからビックリしたんだと思うよ」
「なんにせよ俺の思惑通りだな」
「ねえ、昔はそんな喋り方じゃなかったよね。もし、それが仮にもしリヴァイ兵長の真似してるつもりならほんとにやめてくれない?いや、全く共通点とかは感じられないけど」
『あ、やっぱ真似してたんだ?』
馬の世話を終えたところでペトラたちの声が聞こえてきた。
舌を噛んで辛そうにしていたオルオは冷や汗をかきながらも話せる程度には回復したらしい。
「えっとそのこれは」
『いや、なんとなくそんな感じなんだろうなぁとは思ってたんだよ。全然似てないけど』
「そ、そうですよね。全然似てないですよ。これっぽっちも」
「ふっ……新人には分からないことさ」
鼻で笑うオルオにペトラの顔は段々と暗く、いや薄気味悪いものを見るような目になっていく。相当気持ち悪いと思っているのか、口元に手を添えて顔を歪ませた。
「舌を噛み切って死ねばよかったのに」
『うわ、辛辣』
「こいつの話は聞かないでください。お願いします」
「おい、ペトラ。上官の話を聞かない新人がどこにいるんだ。こいつは俺たちの指示を聞く側なんだぞ?」
「それはエレンの方よ。カイは新人には含まれないんだから」
リヴァイ班の一員に紹介されたとき、エレンと共にいたから勘違いされているのだろう。オルオはカイのことを新人新人と呼びつけてはやたらと鼻で笑っていた。
「調査兵団では見た事ない顔だ。新人じゃなければなんて呼ぶんだ?」
「それは今まで憲兵にいたからってリヴァイ兵長が言ってたじゃない。あんた人の話聞いてないわけ?」
「聞いてたさ。だがなペトラ。憲兵の奴らは巨人を倒せないだろう。そんな所から来たやつは皆新人と変わらない」
「あんたバカにするのも──」
『じゃあ、先輩。これからご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします』
「えっ、カイ?」
なんか面白くなってしまった。今までバカにされることは多々あったが、何故かオルオからの言葉はイラッとしない。
『憲兵では立体機動装置を使うことがほとんどなかったので、これから使いこなせるか不安なんです。優秀な先輩たちについていけば自ずと立体機動の使い方を身につけられると思いますので、どうかご教授のほどよろしくお願いいたします』
ぺこりと頭を下げたカイにペトラが慌てて声をかけてきた。
「ちょっと待って、顔を上げてください!こいつに頭を下げる必要なんて一ミリもないから!」
「なんだ。素直なやつじゃないか。ああ、そこまで言うなら教えてやろう。俺の厳しさについてこられるのならな」
「オルオ!あんたいい加減にしなさいよ!」
『ええ。頑張ってついていきます』
何も知らない後輩になってみるのもいいかもしれない。
鼻高く笑うオルオにキレるペトラの姿を見てカイは微笑む。
「おい、てめえら何遊んでるんだ」
「リヴァイ兵長!」
『あ、見つかった』
「新人、リヴァイ兵長に対して失礼だろう」
『ん?あ、はい。失礼しました』
そんな口調を使っていれば、当然の事ながらリヴァイから訝しげな目で見られる。何をやってるんだという顔をするリヴァイにカイは静かに人差し指を口元に立てた。
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