第十幕
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「ねえ、リヴァイ。私たち随分と愛されてるみたいだね」
死に様を見たくないから離れるなんてバカバカしい。
調査兵団に入ったということは常に死と隣り合わせだ。それはカイも知っていること。死ぬなと言われても無理な話。
「そっか。カイは私たちが死ぬところを見たくなくて調査兵団に戻りたくないんだね」
『ご、めッ……』
「いいよ。そりゃ私だってそうだから。仲間の死体なんて見たくないし回収もしたくない。その人と仲良くしてたのなら尚更だよ」
『も、う……嫌、なんだ……守れないの、は……助けられないのは』
「うん。辛いね」
「だから諦めたのか」
こくりとカイは頷く。
調査兵団を抜ける前、カイはそれまでの行動の全てをやらなくなった。それは他者から見ればガラリと性格が変わったように見えただろう。
昨日まで仲間を助けようとなりふり構わず動いていた人物が、途端に動かなくなれば皆不審がる。人によっては裏切ったともいえる行動。
リヴァイもその瞬間を見た時があり、その時は不審に思っていた。仲間を見殺しにするのか、と言葉を投げかけようともした。
カイの顔を見るまでは。
食われていく仲間を呆然と見つめていたカイは静かに泣いていた。そして"ごめんなさい"と繰り返していたのだ。
それを見てしまった日、もう無理だと思った。このままカイを調査兵団に置いておいたら壊れると。今まで仲間のために神経をすり減らしてきたせいで、カイは限界を迎えてしまっている。放置したらきっと自ら死を選ぶに違いない。
そうなっては困る。
「カイ」
泣きじゃくるカイの頬へと手を伸ばす。
涙やら鼻水やらでぐちゃぐちゃになった顔に触るなんていつもならしない。なんなら汚いと言って蹴り飛ばしているところだ。でも、カイの泣き顔であれば悪くないと思えた。
「泣くな」
『ひっ……う……』
「お前は何も悪くない。お前一人が背負うことでもない」
『リヴァ……イ』
親指の腹で涙を拭う。とめどなく溢れる涙で手が濡れていくがお構い無しに拭き続ける。
「お前はよくやった」
励ましたはずなのに泣き止むどころか、そのまま暫く泣き続け、水分がすべて抜けたのではないかと心配するほど布団を濡らした。
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