第十幕
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『憲兵団に預けてた……だけ?』
「そうだ。お前を正式に憲兵団に移籍させたわけじゃない」
『じゃあ俺は調査兵団抜けてないってことかよ』
話を聞いたカイは頭を抱えてしまった。
調査兵団を抜けたいと願っていた人間にこんな話をするのは酷だ。だが、このまま憲兵に居させるわけにもいかない。いや、憲兵にはもう居られない。
「除隊させなかったのは俺の判断だ。エルヴィンは関係ない」
『……リヴァイが?』
「お前を……いつかはこちらに戻すつもりでいた」
隠しても仕方ない。嘘をついたとしてもどうせバレるのだから。
『俺が戻りたくないって言ってもか』
「その時はその時だ」
『なんだよそれ。なんで外してくれなかったんだよ』
「必要だからだ」
リヴァイの言葉にカイは顔を上げる。
『必要?何が?仲間を見殺しにするようなヤツが必要だって?お前頭おかしいんじゃないか?』
「おかしくて悪かったな」
『悪すぎるだろうが!!ふざけんな!俺は、俺はもう二度と……!』
「それなら何故立体機動を使った。壁が破壊された時、他の奴らと共に逃げれば良かったじゃねぇか」
仲間の死を見たくない、巨人と鉢合わせしたくないと懇願するのであれば、立体機動を使わずに中へ行けば良かった。そうすれば何も知らずに居られたのに。
「上官の命令を無視して勝手に装備を持ち出したそうだな。お前にはその件で罪に問われている」
『好きにしてくれ。分かってたことだ』
「死んでも構わないということか」
リヴァイの問いかけにカイは黙り込む。
「所詮そんなものか」
『……は?』
「憲兵に行ったことで怠けることを覚えたようだな」
布団をじっと見ていた目がリヴァイへと移る。
「お前も貴族のやつら同様、内地での安全な暮らしに満足してたんだろ。だからいざ、調査兵団に戻すと言ったら駄々をこねて嫌がってる。違うか?」
『本気で言ってんのかそれ』
段々と怒りが滲んでいく。低く唸るような声で呟き、カイは布団を強く握りしめる。
もう少し。もう少し煽れば本音が聞き出せる。
『安全な暮らしなんかどうでもいい。そんなの誰かの苦労があってのものだ』
「それを享受しているのが内地の人間だろう。俺たちが外で巨人を相手に命かけてる裏で素知らぬ顔してのうのうと生きてるのは。お前らだろ」
『ちょっと待て。黙って聞いてれば酷い言い草だな。誰が素知らぬ顔して生きてるって?お前にはそう見えてたのかよ。は?人が何も気にしてないって?』
口元を引き攣らせ、怒りの限界が近いのか握りしめている拳も震え始めている。
『リヴァイ、お前流石に言い過ぎ』
ギロッと睨まれたと思ったら、リヴァイの視界はベッドから一転し天井になった。
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