第十幕
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「そうなんだよ!それでその捕まえた巨人に名前を付けたんだ!」
『名前?』
「巨人って呼ぶんじゃ可愛げがないだろう?ソニーとビーンって名前なんだ」
『へぇ。それで?実験したのか?』
「今色々している所なんだ!聞いてくれるかい!?」
『まあ暇だから聞くけど……』
「ああやっぱり持つべきものは同志だね!カイは聞いてくれると思ったよ!」
『はいはい。ちゃんと聞くから話をそらさないようにしてくれ』
「まずは巨人に火を近づけた時の──」
「おい。病人相手になにやってんだ」
暫くは扉の前で聞いていたが、これ以上は話が長くなると判断してリヴァイは扉を開けて中に足を踏み入れた。
拗ねたように唇を尖らせるハンジを睨んでからカイの方を見る。
『あー……久しぶり……?』
「久しぶりなんてもんじゃないよ!三年だよ!?三年も会ってなかったんだから!」
『そんなに経ったっけ?いやあ、毎日忙しくて全然気にしてなかったわ』
「手紙の一つも来ないから心配してたんだよ?ねえ、リヴァイ」
リヴァイへと話が振られたことによりカイの視線がこちらへと向く。
『その、悪かった。近況報告の手紙でも出せば良かったか』
「生きているならそれでいい」
『心配の範囲が極端だな』
「兵団を出た時のお前は死にかけの顔をしてただろう」
『そんなに酷かったか?』
「目を離したらどっかでくたばってただろうな」
『そりゃお目汚しすまなかった』
悪いといいつつ笑うカイ。久方ぶりに見る表情なのに全く嬉しさを感じない。
顔色の悪さが全てを台無しにしているせいだ。
「私、何か食べられるものをもらってくるよ」
『え、いや、待った!俺まだ食欲なくて!』
椅子から立ち上がって部屋を出ていこうとするハンジの背にカイが緊迫した表情で呼び止める。
「栄養失調で倒れたんだよ?少しでも食べておかないと」
『もう少しすれば食欲出ると思うから。その時に声かける』
だから今は要らないと首を横に振るカイにハンジは困り果てた末にリヴァイの方を見やる。
「リヴァイ、本当にいいの?」
「本人が要らねぇって言うなら無理に食わせなくてもいい」
今の状態で食べ物を渡したとしても吐き戻すのがオチだ。食べるように説得させたって意味は無い。
「ハンジ、水を持ってこい」
「水?」
「ああ」
そんなんで良いのかと問い返してくるハンジを部屋から追い出して扉を閉める。邪魔をされないように鍵も掛けて。
「カイ」
『なに?』
「お前に話すことがある」
『話す、こと?』
椅子に腰かけて足を組む。一息吐いてからリヴァイは話し始めた。
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