第九幕
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ひっそりと憲兵団の兵舎へと近づく。カイが配属されていた兵舎は巨人にめちゃくちゃにされたトロスト区。
エルヴィンは別の区に行かせようとしていたみたいだが、ナイル・ドークはカイをトロスト区に配属させた。
巨人がまた壁を破壊して侵入してきたとき、トロスト区が狙われると予期していたからだ。調査兵団であったカイであれば巨人を難なく倒せる。要は巨人の侵攻を受けた時の体のいい武器として送られた。
兵舎にいる兵士たちは忙しなく動き回っている。巨人襲来による仕事の増加に多忙を極めているようだ。
そんな彼らを陰で不機嫌そうに眺めている三人の兵士を見つけた。
そいつらは以前、リヴァイから報復を受けたものだ。その証拠に彼らの顔には傷跡が残っている。
物陰に隠れながら彼らへと近づいて盗み聞く。
「おい、なんでアイツ居ねぇんだ」
「さあな。死んだんじゃね?」
「マジかよ。上官の命令無視して立体機動装置持っていったってのは聞いたけどよ」
「巨人に勝てるわけないだろ。あんなヤツが。調査兵団からお払い箱になったような人間が出て行ったって何の役にも立たねぇよ」
「なあ、本当に巨人に食われて死んだんだよな?」
「あ?それしかねぇだろ」
「だよ、な?まさか俺たちが盛った毒で死んだわけじゃねぇよな」
毒、という単語が聞こえて眉を顰める。
「そんなわけないだろ」
「でもよ、毎日食事に混ぜたのは流石にやり過ぎちまったんじゃねぇか?あいついつも吐いてたじゃねぇか」
「はっ。いいだろ。役立たずに食わせる飯なんかねぇよ」
ゲラゲラと悪う二人に男は罪悪感からか暗い表情。
「気にすんなって。それにクラウンが死んだのならバレることもねぇんだから」
「そりゃそうだけどよ……」
「お前だってアイツが居なくなって清々しただろ?お目付け役なんか任せられてよ」
だから自分たちは悪くない。悪いのはカイだと言って二人は気だるそうにどこかへといった。その場に残された男は一人、納得のいかない表情で拳を握りしめて地面を見つめている。
捕まえるなら今だ。
「でも……あいつは一人で巨人を倒しに行ったんだろ。何度も逃げろって言ったのに」
「おい」
「えっ……な、ちょ、調査兵団……!?」
物陰から出てきたリヴァイに驚いた男は足をもつれさせてその場に転ぶ。
「その話、詳しく聞かせてもらおうじゃねぇか」
ガタガタと震え出す男の首根っこを掴みあげ、リヴァイは兵舎から出た。
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