第七幕
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「カイ、貴方はどっちにつくの?」
『ん?俺はエレンの護衛に回された』
装備の確認をしているところでミカサが駆け寄ってくる。どうしたんだと声をかけると、ミカサは躊躇いがちに口を開いた。
「私もエレンの護衛に……」
『この作戦の指揮を執ってるのはイアン・ディートリッヒって兵士だ。そいつの指示無しで勝手な行動はするな』
「でも……!私が居ないとエレンは!」
『死ぬかもしれないって?』
ビクッと肩を揺らしてミカサは顔を強ばらせる。アルミンからエレンの死を聞かされた時のように表情が暗くなった。
『エレンを生かす為の精鋭部隊だってこと忘れたのか?何があってもアイツは生きて帰らせる。穴を塞げても塞げなくても』
エレンの存在価値はわかったはず。例え一度失敗したとしても、また作戦を練って試せばいい。エレンが生きてさえいれば何度でも出来るだろう。
ここでみすみす死なせるとは思えない。
『心配すんなよ。何があっても必ずエレンは連れて帰るから』
「……わかった」
頷いてはいるが納得はしていない。カイの言葉を信用していないわけでもなさそうだ。ただ、側に居られないということに不満を抱いている。
『あーもう……わかったよ。分かったから。ったく、ちょっと待ってろ』
「え?」
ミカサをその場に残してイアンの元へと歩を進める。仲間のリコ・ブレツェンスカとミタビ・ヤルナッハと話をしているところへと割り込んだ。
『話してるところ悪いんだがちょっといいか?』
「ちょっと、いきなりなんなの?今は作戦確認中なのよ?」
リコ・ブレツェンスカから鋭い視線を向けられながらイアンに話しかける。
『邪魔してすまない。精鋭部隊についての進言をしたいのだがいいか?』
「貴方は確か元調査兵団の……」
『カイ・クラウンだ』
「クラウン、進言とはどういう意味だ?」
『訓練兵のミカサ・アッカーマンを精鋭部隊に入れたい』
「何を言っているんだ!訓練兵を作戦に入れるだと!?馬鹿なことを」
「落ち着けリコ。その事については私も考えていた」
「は?イアン、この作戦は何人もの兵士たちの命が懸かっているのを忘れたのか!?」
揉め始める二人に苦笑いが零れる。火種を作ってしまったのは自分なのだから、場を収めなくてはいけないのは分かっているけど。
『精鋭部隊だからこそ、ミカサ・アッカーマンを入れるべきだと思う。あの訓練兵は並の兵士より機転が利く。巨人相手に臆することなく向かうことができ、エレンの護衛に役立つ』
「経験不足な訓練兵に何ができる!?これは遊びではないんだ!」
『そんなこと言われなくたって分かってんだよ。経験がなんだ?お前らよりこっちは嫌という程経験積んでるんだが?』
無闇に部隊に編成しようと言っているのでは無い。ミカサの能力を把握しているからこそ部隊に入れた方が良いと言っているのだ。
キャンキャン喚いてくるのを睨んで黙らせ、イアンにもう一度問う。
『どうするか決めるのはあんただ。限られた人間の中で編成を組むのに頭を悩ませてるのは分かってる。その上での提案だ』
「イアン、やめた方がいい。訓練兵など足でまといになるだけだ」
「いや、ミカサ・アッカーマンは部隊に入れた方が良いだろう」
「イアン!」
「彼女の実力は知っている。後衛についていた時、ミカサ・アッカーマンの働きは私が確認しているからな」
『なら決まったな』
「進言感謝する。訓練兵を部隊に入れると言ったらこうして反対されていただろう」
『使えるもんは使うもんだ。それが訓練兵だろうと、熟練兵だろうと関係ない』
今はそんな事を気にしている暇なんてない。そう言い加えると、イアンは戸惑いがちに頷いた。
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